LOGO 不妊の相談室

携帯電話による不妊相談を実施してきました(保健同人社主催)。この相談内容と回答について、院長:佐藤芳昭が記録した記事を掲載いたしますので、参考にしてください。

Q47:子宮外妊娠の可能性(25歳・女性)

Q46:男性不妊の原因について(30歳・女性)

Q45:私は不育症なのでしょうか…(25歳・女性)

Q44:基礎体温で低温期が長く高温期が短いです(29歳・女性)

Q43:痛みが取れない…他に原因が?(32歳・女性)

Q42:体重と生理の量と妊娠(32歳・女性)

Q41:精子のタネ(34歳・女性)

Q40:妊娠しません(23歳・女性)

Q39:顕微受精で胚盤胞移植をしました。判定日まで気をつけることは?(35歳・女性)

Q38:体外受精(42歳・女性)

Q37:妊娠希望です(38歳・女性)

Q36:子宮頚癌ワクチンで不妊になるのか?(35歳・女性)

Q35:排卵はしているものの…(28歳・女性)

Q34:2度の流産、甲状腺の病気?(28歳・女性)

Q33:無精子症〔男性不妊?〕(25歳)

Q32:やっと薬で排卵するようになったのですが…(24歳・女性)

Q31:卵管造影の検査(25歳・男性)

Q30:重複子宮と膣中隔不全(34歳・女性)

Q29:子宮内膜症と言われて3年目でも子供は出来るの?(19歳・女性)

Q28:精子の運動率を上げるにはどうすればよいですか?(39歳・女性)

Q27:二人目妊娠希望(25歳・女性)

Q26:ピルを飲んでても。(22歳・女性)

Q25:膣に精子がいないってことは?(24歳・女性)

Q24:体調不良時の基礎体温(28歳・女性)

Q23:排卵誘発剤後の生理の遅れ(33歳・女性)

Q22:子宮筋腫と言われて(32歳・女性)

Q21:着床の確認方法(39歳・女性)

Q20:習慣流産?妊娠するには?(26歳・女性)

Q19:卵胞の発育について(37歳・女性)

Q18:基礎体温が低温でも妊娠可能?(23歳・女性)

Q17:排卵は何歳頃まで?(33歳・女性)

Q16:子宮奇形と流産について(33歳・女性)

Q15:子宮外妊娠の連続しますか?(30歳・女性)

Q14:ずっと避妊していませんが(35歳・女性)

Q13:2人目がほしいのですが、はや11年…。(37歳・女性)

Q12:主人がクラインフェルター症候群と診断されました。(34歳・女性)

Q11:人工授精について(32歳・女性)

Q10:卵菅采(さい)癒着(30歳・女性)

Q9:頻発月経について(18歳・女性)

Q8:生理周期の異常と不妊症は関係ありますか?(26歳・女性)

Q7:マカで妊娠?(33歳・女性)

Q6:体外受精や顕微しか方法はないの?(26歳・女性)

Q5:子宮口が狭いと言われ(30歳・女性)

Q4:子宮内膜症により不妊症と診断される(35歳・女性)

Q3:妊娠出来ません(31歳・女性)

Q2:高プロラクチン血症(33歳・女性)

Q1:不妊は年齢?それとも他に原因が?(41歳・女性)



Q1:不妊は年齢?それとも他に原因が?(41歳・女性)
去年の3月に妊娠したのですが、流産してそれからなかなか妊娠しないので、子宮造影をしたら血の固まりが出て来ました。 もしかして流産の時のが出て来たのでしょうか?
医師から半年たっても妊娠しなかったら、体外受精と言われセカンドオピニオンを考えています。排卵の有無の検査も無かったので。
妊孕力(妊娠できる能力)と年齢は密接に関係しています。ステップアップを急ぐべきでしょう。

結婚してから2年未満でしかも流産の経験があれば厳密な意味では不妊症ではありません。子宮卵管造影で出てきた塊は流産とは関係ないと思います。一般的に貴女の今後の妊娠の可能性を考えると、最新不妊治療技術(ART)を用いたとしても40代での挙児の成功率は10%に満たないと思います。更に42歳を過ぎると妊娠の可能性はさらに小さくなります。またうまく妊娠できたとしても、40歳代での妊娠は流産する確率が20歳代の4倍にもなり、このような見地からは現在の主治医が言われるように一般不妊治療にこだわらず、早めに治療のステツプアップを急ぐべきでしょう。 ではなぜ40代になるとこのように急激な卵巣機能の低下が起こるのでしょうか?まず37歳を超えると女性は加齢による卵巣機能の低下が著明に起きます。更に子宮筋腫や子宮内膜症の合併頻度が増加してきます。また以前に罹患したクラミジアによる骨盤腹膜炎の後遺症とも言うべき卵管の癒着や、卵巣機能の急激な低下である早発閉経(40歳未満で閉経状態になる事)発症や、不育症(妊娠はするものの、元気な赤ちゃんを得られないで流・死産を繰り返す現象)や反復流産等の頻度が増加します。現実に40代での妊娠で流産した症例の胎児染色体を分析すると、60〜70%に数の異常を中心とした染色体の異常例があることが判明しています。すなわち卵巣の加齢が原因で妊娠率の減少、流産数の増加があり、この現象は体外受精などの特殊不妊治療(ART)の症例でも同じ傾向が見られます。すなわち高齢による卵巣機能低下は受精率の低下、受精卵発育能や胚の質的低下、着床能低下に結びついています。男性でも40代では加齢の影響として精子の条件の低下(精子数や運動能低下)や、性機能(勃起力低下、性交不全、性交回数の低下)が見られますが、女性よりその速度は緩やかです。



Q2:高プロラクチン血症(33歳・女性)
5才の子供がいます。二人目がほしいのですがなかなかできず1ヵ月前から不妊治療をはじめました。血液検査の結果、高プロラクチン血症の診断を受け、1ヵ月テルロンを服用することになりました。今度生理が来て10日以内に卵管造影検査をする予定です。高プロラクチン血症の診断を受けた方で妊娠された方いらっしゃいますか?また治療からどれくらいの期間で妊娠にいたりましたか?
高プロラクチン血症を引き起こした原因は?それだけが不妊の原因でしょうか?

高プロラクチン血症とは血中のプロラクチン(PRL)値が高い場合(30〜35ng/ml以上)をいいますが、不妊症との関係ではPRLが高値を示すにしたがって、黄体機能不全から無排卵症、更に無月経となる事です。また男性不妊の原因(乏精子症や精子無力症)ともなりますので、不妊カップルにとってPRL測定は必ずスクーリニングで受けなければならない項目です。女性の不妊症では高プロラクチン血が認められるのは10%弱ですが、この場合PRLがなぜ上昇したかの原因究明が非常に重要です。本人が授乳中でないのに単に乳頭からの乳汁分泌を訴えて来院した患者さんが高PRL血症であることもよく経験します(勿論乳腺の病気の可能性もあり、このような症状が見られる時は専門医と相談しましょう)。これらの原因の中で、100ng/ml以上の高値を示した時にはPRL産生の下垂体腺腫や非分泌性の視床下部脳腫瘍(すなわち脳腫瘍の一種)が35%を占め、視野狭窄(両側耳側の視野が自覚的に見えにくい)にて気がつく事もあります。このような原因が疑われた時には、頭蓋X線撮影や、MRIによる画像診断が必要ですし、脳神経外科受診の必要性がある場合もあります。その他の原因としては甲状腺機能低下症や、薬物性(ある種の精神薬、抗ヒスタミン薬、ドグマチールなどの胃薬など)、慢性腎不全などがあり、不妊症で割合多い卵巣の排卵異常である多のう胞性卵巣症候群(PCO)に伴なうものも含まれ、これらが除外されて、なんらの原因が判明しない場合は原因不明の高PRL血症と診断されます。下垂体線種の小さいものや、原因不明例などでは、PRLを低下させる薬物(テルロン、パーロデルなど)の服用で速やかにPRLが正常化すれば、排卵は回復し妊娠は可能です。5〜7週の薬物服用でもPRL値の低下が見られない場合は更に増量するか、下垂体のPRL産生細胞腫瘍がないか検討が必要です。



Q3:妊娠出来ません。(31歳・女性)
結婚6年目です。2年目に子宮外妊娠をして以来、全く妊娠出来ません。
病院には通わず、サプリや食べ物のみで妊娠しないかと期待しているのですが、やはり病院に行くべきでしょうか。
不妊の原因は複雑多岐です。また不妊症の割合も10組のカゥプルに1組です。検査を受けたほうがよいでしょう

現在子宮外妊娠は20年前より4倍ほど増加しています。その原因は性感染症、特にクラミジア頚管炎とそこから派生した骨盤腹膜炎や卵管炎に罹患した事が大きな原因と言われています。かって私たちが検討したところ、卵管の因子で体外受精に至った症例の半数はクラミジア感染の後遺症による卵管癒着がある事が判明しました。すなわち子宮外妊娠を経験した症例の50%ぐらいは骨盤内癒着を有した不妊例である事が推定されます。クラミジアそのものは自覚症状も軽く、あまり強力な感染症ではありませんが、不幸な事に一度骨盤内に感染が広がると、多くは反対側の卵管炎や卵管周囲炎を併発している事です。このため少なからずの症例が一度子宮外妊娠を経験すると再度子宮外妊娠になったり、残った側の卵管まで狭窄や閉塞ちなって、卵管性不妊となってしまう事です。体外受精法は当初はこれら卵管がダメージを受けた患者さんのために開発された方法ですので、貴女もきちんとした不妊検査を受けて卵管が妊娠できる機能を有しているか否か、不妊専門医と相談されたほうがよろしいと考えます。次に日常生活で不妊症を改善したり、予防する事ができるかと言う問題ですが、実際にはサプリメントや食事療法で改善される領域はそれほど多くはありません。それより前述のクラミジアなどの性交渉感染症にかからないことや、罹患した時は、中途半端な治療で終わらず徹底的に直しておく事、肥満を防ぎ、禁煙をして、大量のアルコール摂取を避け、必要でない薬などは常用しないなどの心がけが不妊の予防になる事を知るべきです。あなたは前回の子宮外妊娠からすでに4年が経過している事から考えると、これから自然妊娠できる可能性は6〜7%ぐらいと経験的にはいえます。したがって早く不妊専門医の診察を受けて、よきアドバイスをもらうほうがよいでしょう。
年齢的にはまだまだ余裕があるので妊娠のチャンスはかなりあります。



Q4:子宮内膜症により不妊症と診断される(35歳・女性)
体外受精に挑戦したが変性により失敗。この先妊娠する可能性がありますか?
35歳までがギリギリのラインだと医師に言われました。
妊娠できる可能性は大です。

子宮内膜症は不妊症と合併する事が少なくない事が知られています。不妊患者のうち20〜30%は子宮内膜症を有しています。この病気の原因はいまだ不明ですが近年増加しており、西欧化している女性の生活パターンが関与しているとも考えられています。子宮内膜症と診断されてから、一般不妊治療をした場合に2年以上経過した時には、体外受精などの特殊不妊治療であるARTの適応地なると一般的には考えられています。まず子宮内膜症と診断された時には、その重症度が重要です。医学的にはT〜W期までのステージがありますので、自分がどのステージにあるのかをよく確認しましょう。ステージV以上の重症例となった場合は不妊治療に先立ち子宮内膜症の治療を優先したほうがよい場合もあり、これは主治医とよく相談してください。その際将来の妊娠希望を考えると、できるだけ積極的な根治的な外科手術療法は避け、腹腔鏡や薬物療法などの保存的な治療法を優先したほうがよいでしょう。また最近ではホルモン療法を始め新しい内膜症の治療法も増加しており、手術療法の可否に関しても不妊専門医と手術を行う婦人医とは、意見が異なる事もありますので十分な意見交換の検討が必要です。体外受精を行う場合で子宮内膜症が存在すると問題となるのは一般的に受精障害(卵と精子が受精できない)が起こりやすいことと、採卵数が少な目となる(内膜症組織が卵胞の発育を抑制するため)ことです。しかし内膜症のために受精卵が変性する事は直接関係ありませんので、卵を育てる刺激法を工夫してもらうなどの選択により十分に対応が可能でしょう。年齢との関係は私たちの経験でもARTでの妊娠成功率は年齢と逆比例しているますので、30台前半までが有利なのは確かですが、現在では40歳代でも妊娠は可能ですので、まだまだ貴女の年齢からはARTによれば妊娠の可能性はあると考えられます。



Q5:子宮口が狭いと言われ(30歳・女性)
結婚して約2年になります。子宝に恵まれずエコーや基礎体温を診て貰ったら排卵はしているが子宮口がとても狭く精子が子宮まで入っていけないと言われました。
何か自分で出来る子宮口を広げる方法はないのでしょうか?
本当に子宮口が狭いのが不妊症の本当の原因でしょうか?

まず不妊症の検査は一般の病気のそれとはやや異なります。一般的な病気が存在する時にはまず種々の検査をして診断を確定し、治療方針を決めます。しかし不妊の場合には年齢や、過去の治療歴にも寄りますが、検査、治療のステップアップと言う方法が選択されます。これが通常の病気とは大きく違うところで、まず卵巣機能や子宮卵管造営、精液検査、感染症の有無など基本的な最小限の検査が終了すると、妊娠に向かって治療を兼ねてタイミング療法に入ります。この中で子宮に原因のある場合を考えてみると、子宮の形がよくない(子宮筋腫がある、子宮奇形がある、内膜ポリープがある、子宮内膜が癒着しているなど、子宮体部に問題がある場合や、子宮の出口(頸部といいます)に問題がある場合)などが考えられます。経管部では、頚管粘液分泌不全や、精子の侵入をブロックする抗精子抗体が分泌されているなどの他に、質問のように頚管入り口が物理的に閉じているたり狭くなっている場合などや、子宮頚管炎の炎症が原因となる事などが考えられますが、質問者は通常は月経血が普通に子宮頚管を通過しているようですので、物理的に精子が通過できないと言う可能性は少ないと推定します。すなわち完全な閉塞でもない限り(この場合は月経血も出てきません)精子が子宮内に侵入できない事はあまりないでしょう。
このことは子宮頸がんで子宮の入り口(頚管部)を摘出する円錐手術を受けた後の患者さんでも術後に自然妊娠する可能性があることを考えると、子宮口が狭いと言う事だけで妊娠できないと言う事は可能性が低いと考えられます。これらの事から質問者の不妊原因は、ほかにもっと重要な因子が隠れていると思えますので、不妊検査を系統的にもう一度受けた方がよいと思います。現在の不妊症は学問的にも細分化しており、産婦人科医なら全ての不妊症の細かい診断、治療が出来るわけではありませんので、一度不妊を専門とする医師と相談される事が必要でしょう。なお自分自身で子宮口を広げる事は無理です。広げるなら簡単な手術操作(子宮頚管拡張術)を受ける事で、拡げる事は可能です。



Q6:体外受精や顕微しか方法はないの?(26歳・女性)
不妊治療で造影をした結果、両側の卵管采から造影剤が散ってないと言われました。
ショックを受け欝っぽくなり治療を辞めてしまったのですが妊娠経験のない私にはとても妊娠希望があります。
卵管采には手術も効果ないと聞きます、本当に体外などしか道はないのでしょうか?
方法はありますが、自然で経過を見るだけでは可能性は少ないでしょう。

もともと体外受精法は卵管に問題のある症例に開発された生殖技術ですので、主治医が体外受精を勧めたのも一理はあると思えます。しかし以前、このような卵管性不妊症に対しては、体外受精が今日ほど広く一般化する前は、開腹して卵管の狭窄部分や、閉塞したところを切り取ったり癒着を剥がしたりして、良好の部分を縫い合わせて卵が通過できるような再生手術(卵管端端吻合術)が行われていました。しかしその後腹腔鏡による手術が開発され、開腹をしないでも症例によっては、手術的に卵管機能を回復させることが出来るようになってきました。特に卵管采の癒着や、卵管周囲の癒着の剥離は技術的にもそんなに困難ではない手技ですので、貴女も一度腹腔鏡の適応があるか否かを主治医と相談されたほうがよいでしょう。しかし婦人科の腹腔鏡は2−3日の入院が必要ですし、全身麻酔下で行われるので、肉体的な負荷は体外受精の採卵術よりかなり大きいと考えておいてください。したがって最近ではこの腹腔鏡を行わずに卵管性不妊では、すぐに採卵に入る施設が少なくないようです。
次に問題なのはなぜ卵管が癒着を起こしてしまったのかの原因についてです。現在卵管性不妊の患者さんの50%ぐらいは、過去にクラミジア頚肝炎から進行して、卵管炎や骨盤腹膜炎を起こした既往があることが判明しています。クラミジア の後遺症と不妊の関係については別の項目でも延べてありますが、この感染が十分に治療されていない場合はさらに不妊治療を困難にする事もありますので、こちらの検査も同時に受けて、必要があれば、予防的に抗生剤による治療も考慮しておいたほうがよいでしょう。(血液検査のクラミジア抗体IG A,,IGGを調べる事によって簡単に判明します)。いずれにしても、卵管に問題のある場合(卵管性不妊といいます)タイミング療法や、人工授精などの一般不妊治療では限界がある場合が少なくありませんので、不妊専門医とよく相談をして、ステップアップも念頭に入れておくべきでしょう。



Q7:マカで妊娠?(33歳・女性)
結婚三年半の妊娠希望の主婦です。
まだ妊娠したことがないのですが、マカを飲むと妊娠しやすいのでしょうか?
不妊原因は種々さまざまです。サプリメントや漢方薬、針灸などはあくまでも補助療法です。不妊原因の確定をまずお勧めします。

結婚3年半で今まで避妊をしていなかったとしたら、あなた方は子供の出来にくいカップルである可能性があります。年齢的にも妊娠する力の低下が始まる時期でもありますので、サプリメントに頼る前にます不妊症の基本的な検査を受ける事をお勧めします。不妊症か否かの基本的な検査は、健康保険が適応されますので、経済的な負担もあまり強くないと考えられます。その上で治療に有効と考えられるサプリメントがあれば、主治医のアドバイスの下に利用するべきと考えます。また勝手に服用したり、自分の判断で中止したりすると、体にとって有害な場合もあることも知っておいてください。マカについては日本国内でもかなり大々的に大手の会社をはじめ、数種類が発売されているようですが、私の知る限り従来の世界不妊学会や、世界産婦人科学会などの国際学会や、日本の生殖医学会などを含めて、きちんとした不妊症への効果が医学的、客観的に証明されたと言う専門的論文を見た事がありません。したがってこれは私の個人的な意見ですが不妊治療に伴なってマカを服用したほうがよいと言うアドバイスはいたしません。現在代替医療と言われるものの中で、確かに不妊治療に貢献する可能性のあるものとしては、まず漢方薬があります。しかしこれも西洋薬とは違って、「証」といって、その患者さんの体質や、病気の勢いなどによって、生薬の組み合わせを決めるので、必ず漢方に詳しい医師の指示のもとに使いましょう。またサプリメントとして一般的に奨められるのは、葉酸です。日本の女性の多くがこの葉酸接種が少ない事あり、しかも不妊治療に成功して、妊娠してもそのまま持続して服用できる数少ないサプリメントです。厚生労働省でも妊娠した妊婦さんが葉酸を十分接種知ると、胎児の神経系の異常を防げる事から、妊娠中の服用を奨めています。また冷え性や、血流不全がある症例には、ビタミンEやCなどの服用がよい場合もあります。しかしビタミンAの過剰摂取は避けたほうが安全で、これらの事を勘案してサプリメントや代替医療施術は必ず医師と相談して行うべきです。



Q8:生理周期の異常と不妊症は関係ありますか?(26歳・女性)
基礎体温をつけていますがグラフはガタガタでとても2層式になっているとは思えません。また生理が不順でも3か月に1回初来していたら不妊症とは関係ないと言うのですが本当にそうなのでしょうか?
最後に生理が初来して以降生理がなくずっと低温層のままで今日で50日を超えました。近いうちに産婦人科を受診したいと考えているのですが良い産婦人科医の見分け方がありましたら是非アドバイスをお願い致します。
排卵障害は女性の不妊原因の最大の因子です。早めに専門医と相談を。

文章から推測するとおそらく相談者の方は、無排卵症と推測されます。無排卵とは卵巣より成熟した卵が出ない状態なので、性成熟期の女性にとっては異常な事態と考えられます。特に多くの患者さんが誤解しているのは、生理があれば自分は排卵があると信じている方が少なくない事で、本質的にはこれは正しいとは言えません。すなわち生理が止まれば全例妊娠ではないのと同様に、生理があっても排卵がその前に必ずあったとは限りません(無排卵性月経)。妊娠の前提としては、女性側から成熟卵の排出(排卵現象)があり、男性側に正常な精子が存在し、かつ両者が出会う事(受精現象)が妊娠成立の第1歩の条件となります。したがって排卵がなかったり、良質卵(受精可能な成熟卵)がでなかったり、周期により排卵があったり無かったり(散発製無排卵症)すると当然妊娠する事が難しく、不妊症になります。このような排卵障害にも軽いものから、第2度無月経といわれる、重症な例まであり、治療や検査は少しずつ異なりますので専門医の診断や排卵刺激薬などの治療が必要となります。現在基礎体温をとっていて、2相性(高温と低音がしっかりある事)が無く、高温部が10日未満の短い場合は、卵巣機能不全や、黄体機能不全の可能性があるので、受診する時には必ず基礎体温表を持参してください。
また不妊症を取り扱う生殖医療の分野は進歩もきわめて早く、産婦人科の中でも専門性の高い医療ですので、産婦人科の標榜医が必ずしも全員不妊診療を得意とするところではない可能性があります。数年前から日本生殖医学会(旧日本不妊学会)がかなり厳しい条件で指導医・専門医を認定しています。学会のホームページからも探す事が出来ますので、受診に不安がある場合は近くの生殖医療専門医を探されたらいかがでしょうか。



Q9:頻発月経について(18歳・女性)
月経周期が23日以下ですが排卵があるか心配です。一度、病院に行った方がいいのでしょうか?
また、将来は子供が欲しいと思っています。排卵があったとしても頻発月経は妊娠しにくいのでしょうか?
排卵がない可能性のほうが高いでしょう。きちんとした検査、治療に進むべきです。

月経周期が23日以下と言う事は排卵がない(無排卵)か、あっても質のよい排卵ではない(黄体機能不全)の可能性があります。生理があるということと、排卵があるということとは必ずしも一致しません。質問者の場合、年齢から見ても無排卵性周期と考えられます。無排卵症は大きく3つに分類でき、一番軽症なのがこの無排卵性周期症で、次に生理がこなくなる第1度無月経、より重症な第2度無月経となります。したがってあなたの無排卵症は最も軽症なランクですので、将来の妊娠の可能性についてはあまり心配する事はないと思われます。すなわち排卵がなくても生理があるということは、女性ホルモン(エストロゲン)の卵巣からの分泌はある程度保たれているわけですから、治療を行う事で簡単に排卵性周期に戻る事が出来ます。医学的には無排卵の原因はその機能する部位によって、視床下部、下垂体(脳内に存在するのでこの2つは中枢性とも言います)または卵巣のどこかにある場合が多いと言えます。更にこれらの臓器機能の働きに支障を来たす病因として、神経性食欲不振症(思春期やせ症)、ストレス、副腎機能不全、糖尿病の存在などが考えられます。質問者が18歳なので、この年齢周辺に焦点を当てて考えて見ましょう。年齢よりも性周期の確立が遅れていて、無排卵又は無月経となっている場合に多いのは上記中枢性原因がまず考えられます。この代表的なのが、職場や家庭などの環境の変化によるストレス性の原因での乱れです。また抗不安薬や胃腸薬のある種のものは、プロラクチンというホルモンを上昇させて排卵障害を起こす事があります。自分で乳頭を圧迫して乳汁分泌が見られたら一度血液のプロラクチンを測定する必要があります。また最近急激に体重を落とした事があれば、体重減少性の無排卵もあり、無理なダイエットをしていないか検討の必要があります。逆に肥満やそれに多毛症を伴なう時には、多嚢胞性卵巣症候群(PCOs)と言う体質性の無排卵症もあり、専門医受診が必要です。



Q10:卵菅采(さい)癒着(30歳・女性)
子宮外妊娠になり薬物療法を経て造影検査したら卵管が通っていませんでした。しかも治療してない片方も…卵管采(さい)癒着だそうです。先生には半年経ったら通る可能性も低い確率であるかもと言われました。
もう自然妊娠できませんか?
癒着の原因は何でしょうか?自然妊娠は難しいと思われますので、腹腔鏡検査か体外受精に早めに進むのも選択肢の一つでしょう。

私たちの経験からは子宮外妊娠を経験した患者さんの血液中のクラミジア抗体を調べたところ50%は陽性でした。すなわち子宮外妊娠の起こる前にすでに5割の方はクラミジア子宮頚管炎から、子宮内膜を経て、卵管から更に炎症が腹膜に到達する骨盤腹膜炎にかかっていた可能性があったということです。クラミジア感染の問題点はクラミジアそのものは、それほど強力な菌ではないのに治癒する過程で卵管や腹膜に癒着を残しやすい事で、しかも両側の卵管がやられる事が多く、これが後に子宮外妊娠を繰り返す原因とも考えられます。術後の卵管造影でも通過性がないと言う事は、すでに癒着が出来上がっている可能性が大きいと推定されます、このように卵管采に癒着を作ると、卵管は通過障害や、卵を取り入れる機能(ピックアップ機能)を失います。まずクラミジア抗体検査を受けて陽性なら念のため抗生剤による治療を受けておいたほうがよいと思います。特にIG-A抗体がプラスの時には最近の感染である可能性がありますので必ず予防的な治療を受けましょう。また卵管采の癒着が疑われると言う事であれば、腹腔鏡での検査治療も選択肢としてあります。子宮卵管造影で卵管閉塞と診断されても、実際肉眼で観察できる腹腔鏡下では2割ぐらいは癒着がない場合もあり、卵管閉塞の診断では画像診断である子宮卵管造影法は必ずしも最終診断法ではありません。しかも幸いな事に腹腔鏡手術は卵管采の癒着剥離手術は特に得意とするところなので、観察と同時に剥離手術も可能ですので、体外受精に進む前に行ってもよいでしょう。ただこの癒着は放置すれば月日と供に強固になる可能性があり、待機するだけで自然によくなる可能性はほとんどありませんので、妊娠を目的にしてタイミング療法だけで自然妊娠を期待するのは無理でしょう。いずれにしてもきちんと検査を受け、早めに治療のステップアップを考慮したほうがよいと思います。



Q11:人工授精について(32歳・女性)
結婚して7年になりますが子供はまだできません。
結婚当初は性交渉をしていたのですが、もともと私は性交渉があまり好きではなく苦痛にしか思えないのですが、子供は欲しいと思っています。
病院で人工授精だけでもしてもらえるのでしょうか?
人工授精は可能です。しかし必ず不妊症の 最低限の検査は必要ですので、まず基本的な検査(子宮、卵管、卵巣に異常がない事)を受けましょう。

配偶者間人工授精(以下AIHと略)は子宮・卵巣・卵管などに明らかな不妊原因がない場合に行われます。まず男性精子の状態がよくない場合(精子の数が少ない、運動率が低い、抗精子抗体を有している)など、またフーナーテストで陰性(精子が粘液中に存在しない時)、勃起不全や射精障害があったり、女性側が膣狭窄などで性交できない場合や、特に原因がはっきりしない機能性不妊などに行われます。方法は妊娠を目的に人工的に精子を女性の性管内(膣内、子宮頚管、子宮腔など)に注入して、確実に精子を卵子に到達させようとする方法で、精子を一度体外に取り出してから注入するので精子を選んだり・洗浄・濃縮などのさまざまな操作が可能になります。通常精子は子宮腔内に注入する場合が多いのですが膣内、子宮頚管内、卵管や腹腔内に直接入れる場合もあります。この方法は受精・卵分割・着床などすべてが自然妊娠と同様に女性の体内で行われるので、排卵がない場合や卵管が詰まっていたり、卵管采が卵子を取り入れられない場合(ピックアップ障害)、受精卵が出来ない(受精障害)、受精卵画途中出で発育を停止する、子宮内に着床できないなどが存在しないことが前提となります。実施日は排卵日にあわせて行うので、超音波での卵胞計測や尿中ホルモン(LH)測定などで排卵日を予測したり、確実にコントロールするためにHCGの注射をして排卵の時間を合わせる方法もよく行われます。実際には採取された精子はそのまま子宮内に入れてもほとんど受精能力がないので、パーコル液による精漿の除去やスイムアップ、スイムダウンなどで良好の運動精子を集めて使用します。0.5ccぐらいに調整して、子宮内に静かに注入し数十分間安静に仰臥させます。術後は感染を防ぐために抗生剤を投与し、数日後にタイミングがあっていたか否かを確認します。副作用としては出血、痛み、感染がありますが、特に感染は後遺症を残す事もあるので警戒が必要でしょう。AIHの有効性は5−6回までと言われ、1回当たりの妊娠率は10%前後です。AIH6回までに妊娠できない時には、体外受精などへの治療のステップアップも考慮すべきでしょう。



Q12:主人がクラインフェルター症候群と診断されました。(34歳・女性)
先日主人が、無精子症で染色体の異常が原因と分かり、クラインフェルター症候群と診断されました。さらに主人の睾丸はとても小さく、睾丸から精子細胞を取って精子を採取するのも、難しいと言われました。医師からは、子供は諦めて二人で生活する方法か、AIDを進めてみる方法かと言われました…もう正直すごくショックで、立ち直りません。やっぱり子供は諦めなくては行けませんか?それ以外に方法はないのですか?
クラインフェルター症候群であっても最新の生殖医療技術によれば挙児希望が叶えられる事もあります。ただし治療の限界や注意すべき点もありよく理解をしてから治療を受けましょう。

無精子症は代表的な男性不妊の原因であり少し前までは絶対不妊症といって、妊娠不可能な病態と考えられていました。クラインフェルター症候群では性染色体が1個過剰なXXY(正常はXY)で小睾丸や無精子症などのほか高身長、女性化乳房などが見られることがあり、成人では不妊症の検査で無精子症から発見される事が少なくありません。男性不妊で見られる染色体異常症では最も多く存在します。産まれてくる新生児の600人に1人にこの疾患は見られ、原因は受精卵が出来上がる過程で起こるので、その後の妊娠では繰り返す頻度は少ないと考えられています。純粋なタイプでは47XXYと言う染色体を示しますが、モザイクといって染色体構造の違う2種類の細胞が混在する場合(46XX/47XXYなど)もあり、この場合はより治療効果も期待できます。ご主人は精液中には精子がいないわけですから、いずれ睾丸の組織検査が必要でしょう。一般的には睾丸の組織は不均一でうまく場所を選べば、無精子症患者さんの睾丸からでも発育途上で停止した精子細胞やごく少量の精子が見出される事があります。この時手術用顕微鏡下で精子のいそうな確率の高い2−4ヶ所より組織を採取して精子を見つけ出す方法(精巣精子抽出術;MD−TESEと言います)がクラインフェルターの場合によく採用されます。たとえ1匹でも精子が見つかれば98%は正常染色体の精子と言われ、顕微授精にて受精卵を得る事が出来る可能性があり、妊娠が可能になります。当院でもこの方法でのクラインフェルター無精子症の妊娠例があり、学会での報告例もありますので、一度考慮してもよいかもしれません。しかしこれを行うには専門知識を有する泌尿器科医(生殖医療専門医)との共同作業となりますので、施術できる施設は限られるかもしれませんので、よく主治医と相談をしてみてはいかがでしょう。またうまく妊娠に成功して児が出生した場合には念のため染色体をチエックすることをお勧めします。
このMD-TESEでも精子が見つからない場合は、現在とりえる最後の方法まで頑張ったので、ご夫婦でも納得できるのではないでしょうか。



Q13:2人目がほしいのですが、はや11年…。(37歳・女性)
1人目を産んではや11年になります。いまだに2人目が出来ません。特にここ1年位ずーっとなのですが、排卵後の出血がかならずあり短い時は3日から1週間、長ければほぼ次の月経日までひきずります。
出血している時少しですが卵巣付近のあたりが痛む時もあります。これが原因で不妊症になっているのでしょうか?ちなみに何年か前も同じ様になりピルを飲んでいた事もあります。年齢が年齢なので妊娠出来るのかも不安です。
早く不妊検査を受ける必要があります。基礎体温を1〜2ヶ月付けて不妊専門医と相談しましょう。

一人不妊の患者さんは増加しています(続発性不妊症と言います)。一人目が以前に自然に出来たから今回も自然に出来ると期待しながら、タイミングで2年以上過ぎても妊娠できない場合には何らかの不妊原因が存在する可能性があります。しかも排卵時とそれに引き続いてかなり長い出血を見ている事からは、何らかの卵巣機能の異常(無排卵周期症や黄体機能不全など)が最も推定されます。また年齢から見てホルモン以外の原因による性器出血(子宮頸がんや膣炎など;現在子宮頸がんは20台、30台に多く発症しています)の可能性もあり、一度全体的な婦人科検診も兼ねて不妊検査を受けられる事をお勧めします。最近は結婚年齢の上昇、初産年齢の上昇にともなって第2子を希望する年齢も上昇しています。一方女性の生殖機能は20代にピークがあり、30台前半、30代後半、40台と確実に段階的に低下していきます。当院の妊娠成績より見ても女性の妊娠できる年齢は37歳を境に大きく低下します。すなわち女性の37歳は生殖に関する卵巣機能の曲がり角です。このことから11年前に妊娠をした時とくらべて、現状では大きく卵巣の働きは変化している事(低下している事)を考慮しましょう。また妊娠現象はカップルでの共同作業です。ご主人の精子の状態も前回妊娠時より大きく変わっている可能性があります。最近の研究によると男性の性機能、とりわけ精子の機能は女性より早く衰えはじめ、35歳から大きく減少することが報告されています。男性の検査を含めて早めの不妊チエックしましょう。結果的に妊娠した第2子不妊患者さんのうち第一子の不妊治療歴のある方の妊娠率は51%、治療歴のない方の妊娠率は27%とのデータもあり、前回に治療なしで妊娠した事は次の治療の有利な点とはなりません。



Q14:ずっと避妊していませんが(35歳・女性)
子供が欲しいので、今まで避妊はほぼありませんでした。生理不順で調べてもらったところ多嚢胞卵巣だと言われました。排卵の跡はあると言っていましたが、まず様子を見ようと言われました。妊娠できるのですか?
すでに治療を要する不妊症の範囲に入っています。早めの検査治療を受ける事をお勧めします。

不妊症の患者さんが妊娠できるかどうかの確率は治療開始時の女性の年齢と不妊の原因にかかっているといえます。自然妊娠を期待して待機療法をしている患者さんの気持ちはよくわかりますが、過去の経験から自然妊娠できる期待率は次のように考えられています。避妊をせずに夫婦生活をしていると65%は6ヶ月以内に妊娠。80%が1年以内の妊娠で2年までには90%の方が妊娠に成功することが統計的に知られています。すなわち妊娠しない残りの10%が不妊症と言う事になります。このため不妊治療医の専門学会である日本生殖医学会では、挙児希望があり2年間の間で妊娠成立しない時には不妊症と診断するように定義をしています。しかも7年間を過ぎた場合には妊娠期待率は確立上は0%となります。したがって11年間できなかったときには、治療のステップアップを急がなければ成りません。不妊原因には排卵障害、卵管因子、子宮因子、頚管因子、男性因子、免疫因子、性交障害などがありますが原因不明の場合も8−10%あるので早めに検査を受けて、どのような治療が最適か決めたほうがよいでしょう。多嚢胞性卵巣(PCO)と診断されていますので、排卵に原因がある可能性がありますがそれ以外の原因も重複している事もあり、いずれにしても系統的な検査を早く受け原因を確定し、それにそった最適な治療法を選択する事がベストです。PCOの場合には必ずしも無排卵が持続しているとは限らないのですが、インスリン抵抗性といって背景に前糖尿病的体質(家族に糖尿病患者がいる場合は特に要注意)を有している事が少なくありません。これに肥満や多毛などの男性化兆候が合併している事もあり、排卵刺激剤に対しても卵巣過剰刺激症候群を起こしやすいこと、また時にはプロラクチンが高くて、薬物療法でこれを低下させないと卵質が向上しない場合などもあり、専門的な知識や治療経験が必要なので不妊内分泌を専門とする施設や医師の診察を受ける事をお勧めします。いずれにしてもこのままタイミングで時間をすごしても妊娠できる可能性はだんだん遠くなります。思い切って積極的な治療に向かう時期が来ていると思います。



Q15:子宮外妊娠の連続しますか?(30歳・女性)
子宮外妊娠で卵管温存手術をしました。1年前にも同じ場所あたりで妊娠して自然流産して今回の手術に至ります。妊娠2回とも子宮外妊娠だったことで3回目も子宮外妊娠になるんじゃないかと不安です。やっぱり確率的には続く場合あるのでしょうか?
子宮外妊娠は継続的に発生する可能性があります。原因を検討する事が必要です。

受精卵が子宮内腔以外のところに着床するのが子宮外妊娠です。その部位によって卵管妊娠、頚管妊娠、卵巣妊娠、腹膜妊娠などに分けられますが95%は卵管での妊娠で、そのうちの大部分は卵管膨大部と言われる受精の起こる部位で起こります。子宮外に着床する原因としては骨盤内炎症や卵管炎が多く、特に最近では過去のクラミジア感染に寄る、卵管炎や卵管周囲炎の後遺症(癒着や狭窄)から発生する事が少なくないと考えられています。また体外受精は卵管を使用しないので子宮外妊娠はおきにくいと考えられがちですが、実際には体外受精でも子宮内腔に置いたはずの受精卵が卵管内に逆送して着床、子宮外妊娠を起こす事はよく知られています。また発生が珍しいと考えられている、内外同時妊娠(子宮内と卵管の2箇所に同時に着床する事)も複数卵を移植する体外受精ではその頻度も自然妊娠の発生と比較すると増えています。また今回のように前回に卵管を温存するような保存手術を行った場合には、同じところに再度着床して、子宮外妊娠となる場合も少なくありません。そのため子宮外妊娠を繰り返した時には、妊娠のために体外受精を選択する事を前提として、次回の子宮外妊娠と、卵管水腫を避けるために子宮と卵管の連絡部(狭部)で結紮して、卵が卵管側に通過しないように予防的手術を行う事もあります。子宮外妊娠の発生は0.5%から1%と言われていますが、最近では体外受精などの特殊不妊治療でその頻度も増加しています。超音波診断が発達したために妊娠5週に入ると胎嚢が見られないことより早期診断されることが多くなりましたが、初期で未破裂で発見された時には、質問者のように保存手術(線条切開)を行ったり、MTXのような薬物で絨毛細胞を消すために行われた保存手術は、その後に反復して子宮外妊娠が発生して再手術の可能性は高くなるともいえます。いずれにしても一度子宮外妊娠を起こした時には、緊急度、全身状態、妊娠部位、HCG値、胎児心拍の有無、などによりますが、不妊症や以後に挙児希望のある場合にはこのような卵管保存手術療法、薬物療法などの待機療法を選択することも多いので、再度の子宮外妊娠を避けるためにも、それ以降の不妊治療を考慮して主治医とよく相談して治療法を決定する必要があります。



Q16:子宮奇形と流産について(33歳・女性)
現在、不妊治療に通っています。
子宮卵管造影検査で弓状子宮だということがわかりました。妊娠したときは流産しやすいのですか?
人間の子宮も胎児期の発生時には2つにわかれています。奇形の形状と程度により流産の危険性は異なりますが弓状子宮は流産の危険はほとんどありません。

子宮奇形はなぜ起こるのでしょうか?哺乳動物の子宮のうち特に人間の場合には、もともと母親の胎内で成長する時には2つの子宮原基(ミューラー管)が結合して一つの袋(子宮)として存在するようになっています。したがって出生後も体内にそのまま重合せずに2つの子宮を有する哺乳動物は数多くあり人間のように1つしかないのは少数派です。子宮奇形の起こる原因は、@ミューラー管の発育停止による先天異常、A発育途上の異常B2つのミューラー管の中央部での癒合が上手くゆかなかったときなどがあります。アメリカでは一時流産予防に使われたある種のエストロゲン(ジステールベステロール)によるT字型子宮が発生したこともありましたが現在はこの薬剤は使用されず、幸い日本では未使用でしたのでこのタイプは存在しません。全体的に臨床的には子宮奇形がある女性の25%には流産死産、骨盤位などの位置異常,周産期死亡や月経困難症、性交痛などの症状が見られますので注意が必要です。診断は子宮卵管造影法や子宮のMRI検査,超音波断層診断などで行われます。実際よくみられる子宮奇形のタイプは@重複奇形;子宮が別々に2つあり、妊娠してから早産、逆子などの位置異常が起こりやすくなる。A双角子宮:子宮口が1つで卵管とつながる子宮角が2つあり、このタイプは頻度が多く妊娠経過はほぼ正常だが早期流産、早産、位置異常が多い。B中隔子宮;中央部が遺残したタイプで不妊原因にはならないが流産を繰り返す不育症を起こす。弓状子宮はこのタイプのもっとも軽症のもので、子宮底が弓のようにやや膨らんでいるためにこのように呼ばれるが、実際にはほとんど妊娠の成立や継続には影響がないと考えられています。このように子宮に奇形があると正常子宮とくらべて妊娠しにくかったり、流産しやすくなる原因として推定されているのは、奇形の癒合不全の部分の血流が悪くなるために着床しにくかったり、流産しやすいと推測されており、流産を繰り返した時には子宮鏡や開腹で手術を行い、正常子宮の形状に修復することによって流産を防ぐことができます。



Q17:排卵は何歳頃まで?(33歳・女性)
12歳の時に、卵巣濃腫で右卵巣を摘出しました。その後、毎月の生理は規則正しくありますが排卵は何歳頃まであるのでしょうか?
まだ数年は結婚・妊娠をする予定はありませんが、排卵がいつ頃まであるか不安です。将来的に出産したいです。可能であれば卵子の冷凍保存をしたいと思っています。
個人差はありますが、人の排卵回数には限りがあります。また生理がきちんとあることは排卵しているという十分な証拠とはなりません。

この問題は個人差も大きく一人ひとり背景が異なるために適格な答えは困難ですので、一般的な見解を述べてみます。現在初経の開始の平均年齢が12歳ぐらい、閉経の平均年齢が50歳ぐらいといわれています。この間に排卵は起こっているのですが思春期や前閉経期は無排卵性月経(生理はあるが排卵はない状態)であることが多いので、回数から言うと人間が排卵するのは一生のうちで400回ぐらいです。すなわち一人の女性が妊娠できる可能性のある回数は一生のうち最大400回ということであり、未婚や避妊で妊娠しないようにしている時期もあり、不妊原因のない夫婦間でも排卵日にきちんと性交しても受精・着床する可能性は3回に1回と考えられていますので、実際に妊娠できる排卵回数は非常に限られていると考えられます。しかも年齢とともに妊孕率(妊娠できる可能性)は低下しますので排卵があることがイコール妊娠できるという保証にはなりません。しかも閉経を左右する因子が種々ありたとえば喫煙は閉経を早くするもっとも大きな要素であり人種や住環境の変化、未産婦は経産婦より閉経が速くなるなどが知られています。すなわち閉経までは排卵の可能性はあるわけで、理論的には50歳前後までは排卵はあることなります。しかし実際の不妊治療の成績よりみても、一回の体外受精法での20代の妊娠確率は50%あるのに40代ではわずか8%になります。この理由としては卵巣での原始卵胞(成熟卵の元)が数的に減少すること、染色体的に異常卵が増加すること、受精する可能性のある成熟卵が減少することなど、卵の数のみならす、その質も変化するからです従来の研究からは、40歳までは女性の妊孕力はあまり低下しないが、以後は急激に妊娠しなくなり、また排卵できても自然流産や胎児の喪失頻度が増加することが判明しています。したがって排卵があれば妊娠できるのではなく、質の良い卵が排卵されているうちに妊娠することが最良の策と考えられます。経験的には女性では35歳まではの妊孕力はほぼ保たれますが、37歳ごろより急激に卵巣機能やその予備力は低下します。すでに述べたように40歳以上ではたとえ排卵があってもその質的問題より妊孕力は極度に低下します。このことから考えろと、社会的因子や、経済的因子なども考慮して、35歳までに妊娠分娩を終了するのが最も良い方策ですが、少なくとも40歳までには終了しておくことが医学的には望まれます。なお卵巣組織の凍結や未受精卵の凍結も行うことができますが技術的にはまだ問題点も多く、倫理的な束縛もあるようです。手術的に片方の卵巣は摘出されていますが、1つの卵巣でも十分補充できますのでこの点は問題ありません。



Q18:基礎体温が低温でも妊娠可能?(23歳・女性)
私は子供が欲しくて基礎体温を計り始めました。でも毎回低温です。高温にはあまりなりませんけど低温でも妊娠ってするのですか?
まず基礎体温は正しく測定されていますか?どのような基礎体温計を使用していますか? 無排卵症の可能性が高いので妊娠のためには治療が必要でしょう

基礎体温とは何かをもう一度ここで確認しておきましょう。使用するのは婦人体温計と言って通常の体温計より目盛がこまかくなっています。測るコツは目が覚めたら体を動かす前にすぐに検温することです。以前は水銀体温計が主に用いられていましたが、最近ではデジタル体温計がよく用いられています。成熟女性の口腔内で体温を測定すると排卵を境にその前後で低温と高温に分かれます。。これは排卵を契機に産生される黄体ホルモン(プロゲステロン)が脳内の体温中枢に作用して高温相を作るためで、黄体ホルモン分泌開始は排卵が終わった卵胞が黄体化することにより産生されるので、排卵終了のサインともいえます。また黄体ホルモンはちょうど排卵後1週間ぐらいの着床期(受精卵が子宮内膜に着く時期)にピークとなりますので、黄体ホルモンが妊娠成立に大きな役割を果たしていると同時に基礎体温の形(黄体機能)とも密接に関係しています。不妊治療の面よりみると基礎体温は低温相のみのタイプ(通常は無排卵症)、高温相が10日以内の短いタイプや、高温時にギザギザのドロップがみられるタイプ(通常黄体機能不全タイプ)、きれいな2層性で特に高温相が台形を示すタイプ(正常な排卵性周期)、高温相が持続して21日以上続いている(妊娠成立のタイプ)などに分類されます。これより推察すると質問者は低温のままとのことなので無排卵症の可能性が高いと考えられますので妊娠する可能性は低いと思われます。しかし注意が必要なのは、基礎体温はあくまで補助的診断法であり、排卵の確実な診断は超音波診断、ホルモン測定など総合的になされるべき事であり時に低温のまま妊娠が成立していることもまれには存在しますので、100%妊娠の否定はできません。基本的に基礎体温判読上の注意点を述べてみます。体温計が水銀計かデジタルかによってやや読み方が異なってきます。水銀では直接体温を反映しているのに、デジタル系では予測値として表示されるタイプが少なくないこと、金額により性能のよいものからかなり性能の低下しているものまでありますので注意が必要でしょう。また必ず舌下で測定してください。脇下で間違って測定した場合には正しい体温が得られません。また記録は必ず体温表に記録し、診察時には持参して医師にチエックしてもらい、診療や投薬を受けた時にはその上にかきこみをして記録し自分の診療録として用います。



Q19:卵胞の発育について(37歳・女性)
私は現在二人目を授かりたくて、不妊治療に半年以上通っています。病院での診断は排卵障害との事で、クロミッドと卵胞の発育が悪い時はフォリルモンPという注射をしてもらっています。
でもここ最近は卵胞の発育が悪く、排卵させるまでに至っていません。このままの治療法でいいものか不安です。どうか教えてくださいお願いします。
排卵障害の原因にもいろいろあります。まず原因検索を行ってそれに沿った治療を行いましょう。

子供を一人は授かっているのでこの時には自然で妊娠できたのでしょうか?このときにも何らかの治療を受けていたら、その時の経過をもういちど記録を確認しましょう。治療を受けていないとしたら、分娩を契機にその後に排卵障害は起こったのでしょうか。これらの既往歴は今回の治療に大きな情報を与えてくれますので検討してみてください。まずなぜ排卵が起こらないのかその原因を考えてみましょう。排卵は卵巣からされるのですが、それを調節するシステムが成熟女性にはあります。これを間脳―下垂体―卵巣―子宮の連携システムと呼び一連の機能が適切に作用しなければなりません。この機能系のどこかに異常があれば無排卵や無月経となります。元々卵巣の発育過程で機能できなくなった場合を原発性と呼び思春期以降まったく排卵も月経も発来しません。質問のようにある時期より無排卵・無月経になった場合は続発性といい、間脳―下垂体の障害が多く、この部位は脳組織に含まれるので中枢性とひとまとめで呼ばれます、排卵障害の原因はこの中枢性が最も頻度が高いことが知られています。間脳は卵巣や、脳機能の上位の部位から種々の情報を受けて排卵させるための指示するホルモン(LH-RH)を下垂体に向かって出します。これを受けて下垂体からは卵巣へ、卵を成熟させる卵胞刺激ホルモン(FSH)と排卵の引き金となるホルモン(LH)を分泌します。この部分に障害がある場合には原則としてまずクロミッドなどの中枢に作用する薬剤が使用されます。さらに卵巣機能がより強く障害されている場合には卵巣に直接作用するフォリルモンpのような注射のHMG製剤が使用されます。したがって今までこのHMGで排卵していたのに反応が悪くなった場合にはその使用量、期間などを増やせば対処できる可能性が高いといえます。ほかにも最近ではリコンビナントFSHという純度が高く,力価の安定した注射薬も健康保険で使用可能となっています。排卵誘発剤の効果が落ちる時には特別な高プロラクチン血症や多のう胞性卵巣症候群(PCOS)も考えられますので生殖内分泌専門医と相談する必要があります。



Q20:習慣流産?妊娠するには?(26歳・女性)
2回の流産は、ともに生理予定日頃でした。1回目は生理が10日近くあり、1週間後また出血したので病院へ行ったら「今が生理ですね。前の出血で流産した可能性が高い」と言われました。
同じ様な事がもう1度ありました。生理と区別がつけにくく流産に気付かないこともありますか?レントゲンで見た私の子宮はハート型みたいに上が凹んでいました。妊娠できますか?
妊娠できる可能性は高いでしょう、一度本格的な習慣性流産の検査を受けられたほうがよいでしょう。

連続して3回流産を起こした時には習慣性流産として取り扱いますが、2回連続した場合(反復流産)も診療の対象にします。いままでのすべての妊娠が流産のみの場合は原発性流産とし、途中に正常分娩を挟む時には続発性とします。また流産が12週以前か以後かで原因が異なることがあるので流産の時期も診断には重要です。ではなぜ流産は繰り返すのでしょうか?通常の妊娠でも15〜20%は自然流産が起こることが知られていて、1階の流産後ひき続いて流産する割合は23%、3回は29%、4回は33%といわれています。なぜこのように流産がbくりかえすのでしょうか。通常複数の原因がある場合もありその原因ごとに区別して治療を考えます。ます夫婦の先天異常が存在することがあります。10%ぐらいに相互転座と言って染色体のある部分の入れ替えが起こっていて受精卵がそれを引き継いてしまう時があり、この場合は現在では体外受精で行って、受精卵診断を受け正常な受精卵を選んで子宮に戻すことができます。次に子宮の形の異常です。先天性の子宮の奇形や子宮筋腫による子宮の形の変形などがこの原因となりますが、質問者の子宮がハート型に凹んでいるとのことですのでこの範疇に入るかも知れません。しかし軽度の凹み(弓状子宮)は流産とは無関係で、中隔子宮や重複子宮は原因となるといわれていますので、一度MRIの検査を受けられたらいかがでしょうか。3番目には背景に膠原病などの自己免疫異常などの病気を持っていて、抗リン脂質抗体といわれる物質を有している患者さんがいます。この自己抗体の存在は健康保険でも検査することができます。検査を受けて抗体の存在が判明すれば低用量アスピリンや副腎ステロイドで抗体を中和し治療することが可能です。また母体と胎児の間で免疫異常を起こすこともあり、この場合でも夫のリンパ球を母体側に点滴して免疫療法がなされる場合もあります。いずれにしても厚労省の習慣性流産研究班のデータではこれらの治療で85%の症例は無事出産にこぎつけることが可能と結論されており、無事妊娠できる可能性は高いと考えます



Q21:着床の確認方法(39歳・女性)
何回も人口受精も体外受精も失敗ばかりで不妊治療に疲れ気味です。 着床ぐらい結果がわかったらいいと思いますが、出来ないのでしょうか?
生理予定日から1週間後までドキドキ感と心配のストレスが不妊の延長になりそうです。 現在の自分自身がそのようで悲しいです。どうしたらいいですか?
頻回妊娠不成功の原因は?いちどリフレッシのための治療休止をとることも一つの方法です。このあいだに過去の成績をもう一度検討いたしましょう。

ゴールの見えない不妊治療で心身ともにお疲れのご様子は日ごろ多くの患者さんを拝見している私にとって痛いように実感できます。妊娠反応が出ないとのことですが、体外受精または顕微授精では受精卵が得られているので、受精障害ではないようですから問題は着床にある可能性があり、着床障害と考えられます。現在着床に問題があるケースが不妊治療では最も難問であるのは確かです。受精卵の質の問題は体外受精によって正常受精や卵分割を観察することによって、着床寸前の胚盤胞まで確認できるわけですから、あとは受け取る子宮側の着床が100%近くになれば妊娠率も限りなく100%に近いはずです。しかし現実にはARTの妊娠率は30%台ですから、いかに良い卵を子宮に送り込んでも、その着床できる割合からみると多くの質の高い卵も子宮内膜に付着することなく消えてゆくわけです。着床のためにはいくつかの因子が関与しています。そのうち子宮側(すなわち子宮内膜側)でよく知られているのが「着床の窓」という現象で排卵後の数日間に子宮内膜は受精卵を受け取るための準備をして卵の到着を待っている時期を言います。通常は3日ぐらいといわれていますが不妊症の方はこれが短縮していて、「窓」のオープンしている時間が24時間ぐらいのケースが多いと考えられます。したがってこれだけでも着床のチャンスは通常に比較して3分の1となってしまうわけです。また不妊症の方の子宮内膜厚が常に薄い方がいます。わたくしたちの研究ではこのような症例では子宮―卵巣を流れる動脈血流が悪い例にしばしば遭遇いたします。すなわち日本女性に多い冷え性や末梢循環不全、加齢による動脈硬化、喫煙や自律神経系過敏に由来する血流不全などがその原因として多いと考察されます。これらに対応するには、日常生活での努力が重要です。軽い運動を持続し、肥満を防ぎ、抗酸化力の豊富な食事療法が必要でしょう。このような血流不全症は女性のみではなく男性不妊にも数多く観察されますので、夫婦ともに血流改善に努力する必要があります。また着床期に子宮収縮を起こすと着床障害が発生する可能性があり、受精卵を戻した高温相では激しい運動や、振動を与える刺激、性交なども控えて子宮の収縮抑制をおこなえば着床のチャンスも増加するでしょう。早く着床を知るためには高温相の10日目には着床を示す血中hCGは上昇を始めますので、継続的にhCGを測定することによって着床したかどうかを予測することは可能です。



Q22:子宮筋腫と言われて(32歳・女性)
不妊治療を始めようと内診を受けたところ、子宮筋腫が3つも発見されました。大きさは3cmくらいと言われました。摘出手術はしなくていいと言われましたが不安です。
どの位の大きさから摘出しなければならないのでしょうか。不妊の原因にもなるのでしょうか。
不妊と子宮筋腫は色々な意見がありますが、多くはその筋腫が子宮のどこに存在するかにかかっています。

子宮筋腫とは子宮にできる良性腫瘍の中で最も多く、生殖年齢の女性の25〜30%にみられるといわれていますので、罹患頻度の高い女性の病気と考えられています。子宮筋腫があっても症状に乏しいことも多いのですが、時に不正出血、下腹痛、月経痛,過多月経などの症状から発見されることもあります、子宮のどの部分に筋腫が発生したかにより奬膜下筋腫,筋層内筋腫、粘膜下筋腫に分類されます。子宮筋腫があっても普通に妊娠し分娩する方は少なくありません、特に不妊と関係する子宮筋腫はその発生した部位によるとの報告が多くみられます。まず子宮筋腫があるとその部位の子宮内膜が筋腫の圧迫で血液の流れが悪くなり〔血行障害〕卵が着床しにくくなること〔着床障害〕が起こるために間接的に子宮の環境を悪化させて着床や、胚発育に悪影響を与えている可能性があります。またほかの原因として考えられるのが、子宮筋腫が存在することで正常の子宮筋の収縮や、卵管の蠕動運動〔卵を卵管から子宮内に送り込むための作用〕を阻害するために子宮内腔から卵管へ向かう精子が減少したり、卵管が受精卵を送る機能が低下したりするいわゆる移送障害がみられたりすることが原因と推察されています。ある報告によると子宮筋腫がある不妊患者では自然妊娠率が11%で、対照の、M筋腫を有しない不妊患者の25%より明らかに低く、子宮筋腫の有無が妊娠率に影響を及ぼしていたとの報告もあり、一般的な不妊検査、治療で子宮筋腫以外に不妊原因が見つからない場合には、何らかの治療を考慮したほうがよいでしょう。子宮筋腫の治療法は現在では多くの選択肢が選べるようになってきました。手術を希望しない方にはGN-RHアンタゴニスト注射法がありますが、更年期以降の症例と異なり、再発も多く、この治療期間中には排卵が抑えられるので不妊治療が出来ないなどの問題点もありあまりお勧めできません。最近同じ保存的治療法で子宮動脈塞栓療法(UAE)も話題となっていますが、治療成績が安定しておらず不妊治療としては推奨されません。したかって外科的手術療法がメインですが、そのうちでは腹腔鏡下子宮筋腫核出術、または子宮鏡下筋腫核出術が不妊症に合併する子宮筋腫にもっとも有用性があると考えられます。



Q23:排卵誘発剤後の生理の遅れ(33歳・女性)
通常、28〜30周期で生理が始まるのですが今月は一週間遅れています。今まで生理が遅れた事がありません。今、不妊治療中で前周期に体外受精の為排卵誘発剤を注射しました。
採卵までは出来ましたが空砲で胚移植まで行かず妊娠の可能性はありません。今回で二度目の体外受精なのですが誘発剤の反応も年齢の割に悪いと言われ卵巣機能が低下しているのではと言われました。このまま生理が止まってしまう可能性はあるのでしょうか?
体外受精後は排卵が遅れることは少なくありません。次の周期には正常化する可能性が大きいでしょう。卵巣機能低下を救う手立てはあります

不妊治療特に体外受精での採卵までの卵巣刺激法は種々あり各クリニックでも異なります。したがって今回どのような薬剤を用いて採卵したのでしょうか?アゴニストを用いたのか、アンタゴニストなのかなどにより大きく異なりますので一概にはコメントできませんが、一般的に刺激が強いほどそのあとの排卵は遅れることが少なくありません。また採卵時には排卵刺激剤の副作用として卵巣過剰刺激症候群が起きやすいことはよく知られています。特に多襄胞性卵巣症候群(PCO)では このような副作用が起きやすく、次の周期でも無排卵症が長引くことがあります。卵巣機能低下(実際は卵巣予備能の低下)は年齢の上昇とともに見られますが、35歳まではそれほど急劇な衰えることは少ないので、まだまだ機能的に余裕があるはずです。実際に採卵の開始周期に現在の卵巣の予備能を検討する方法も何種類かあり、例えば月経3日目の血液中のFSH値や、超音波で確認できるこれから発育する胞状卵胞数、最近では抗ミュウラー管ホルモン(AMH)といわれる物質の測定などで、ある程度のその周期の卵巣予備能を予想することができますので、一度主治医とよく相談してみたらいかがでしょうか?また排卵や採卵のために刺激に用いる刺激ホルモン剤も数多く選べるようになり、採卵もロング法といわれる長期に点鼻薬(アゴニスト)を用いる方法や、排卵してしまうことを抑制するアンタゴニスト法などを排卵刺激剤と組み合わせることで一人一人に合った採卵法をえらぶことができますので、これから良い卵を獲得できる可能性はありますので希望を持ってください。採卵時に空胞〔卵が回収できないこと〕とのことでしたが、実際採卵してみると、施術前に確認された超音波上の卵胞数と実際回収された卵の数は必ずしも一致しません。中には10個以上の卵胞から一つも卵が回収できない場合さえあります(卵胞空胞症候群;EFS)。年齢上昇とともにこの現象は増加しますが刺激法を換えることで、次の採卵時にはEFSを避けることもできます。夫婦間の体外受精法は動物実験では簡単に再現することができませんので、自分の過去の妊娠できなかった採卵周期は次の機会に多くの情報を与えてくれますのでまったくの無駄ではありません。あまり悲観しないで次回には良い結果が得られる希望を持ちましょう。



Q24:体調不良時の基礎体温(28歳・女性)
妊娠希望なので基礎体温をつけていますが、風邪気味も影響しているせいか、なかなか二層?にならなくて挫折気味です。風邪気味だとちゃんと測れていないのでしょうか。
脇用ではなく口内で検温の物でなければダメですか?脇用の物を(新品ですが)口内で検温しているのもダメなのでしょうか?
基礎体温は自分で行えるもっとも簡単な自己診断法です。きちんと婦人体温計を用いて行なえばその有用性は高いでしょう。

基礎体温表(BBT)は不妊治療には欠かせないルーツです。朝目覚めたときに口の中に婦人体温計を入れて測定した体温を基礎体温と言います。体温計ですが現在は水銀計と電子計(デジタル計)の2種類が販売されています。ここで注意が必要なのは、水銀計は実際の体温を測定〔実測値〕で、電子計は予測値が大部分です。したがって電子計は測定時間が一般に短くなっています。通常の脇下での体温測定とは異なり、婦人体温計はメモリーが細分化されており微妙な温度変化も測定できるようになっています。また口腔内測定が必要なのは女性のホルモンの変化は、口の粘膜と唾液にもっともよく反映されるからであり、脇下での測定は意味がありません。なぜ基礎体温というかというと、十分な休息(通常は6時間以上)の睡眠をとった時には人間の基礎代謝〔生きていくのに最低限のエネルギー〕が最も低下しているときなので、基礎体温というわけです。したがって病気で発熱したり、すでに体を動かして活動開始していたり、前夜大量の飲酒があったり、不眠で睡眠時間が少なかったり、旅行で環境が変化するとその時の体温は当然高くなり影響を受けます。また多くの人は基礎体温で排卵日が低温相のドロップで予測できると考えていますが、私たちの超音波での検討では低温最終日に排卵するのは1/3に過ぎず、多くは高温相に移行してから排卵が始まっています、したがって基礎体温のみでタイミング療法を行っても、排卵日に適格にマッチしているとは限りません。基礎体温が効果あるのは振り返って排卵があった周期か否か〔きれいな2相性か〕、高温相(黄体期)形成がよいかどうか、高温が持続して妊娠した可能性が早期に推定できるかなどがあります。しかしあくまでも基礎体温は補助診断ですので、これ単独での不妊治療はあまり意味がないことも知っておきましょう。しかし重要なのは患者さん自身が基礎体温を測定することで自分の治療に対する関心や理解を持つことができることで、たんに温度の記録だけでなく性交日、下腹痛〔排卵痛〕、おりものの量、検査結果などを記録することで、次の治療につながる立派な診療記録となります。



Q25:膣に精子がいないってことは?(24歳・女性)
私は今不妊治療中です。
先日、病院にいって子宮と膣にどれくらい精子がいるか調べたところ、「子宮にはいるが膣の方にはまったくいない」と言われました。これは妊娠は無理ということですか?
男性因子である精液検査を受けたのでしょうか?精液が検査正常で抗精子抗体が血中に存在しなければ妊娠の可能性は大きいでしょう。

今回の検査はフーナーテストといわれる方法と考えられますので、この検査について説明をいたします。このテストは性交後試験ともいわれ排卵日の朝に性交してから来院、子宮頚管粘液の中に運動している精子がいくつ存在するか否かを検査する方法です。子宮頚管は経管粘液を分泌しておりこの分泌物は精子を通過させる通路としてだけではなく精子を貯蔵し、受精のために活性化を行うなどの重要な役割を果たしています。またこの経管粘液が最も分泌量が多くなり、その精子通過性が最大となるのは排卵の時期と一致しています。すなわち経管粘液の性状は周期的に変化していて、卵の成熟と一致して排卵時に最良の状態となりますので、体内の卵胞成熟ひいては女性ホルモン分泌量を反映していると考えられます。排卵が終了すると黄体ホルモンの分泌が始まり、経管粘液量は急激に減少し、精子の通過性も認められなくなります。したがってこのフーナーテストは行うのが最適な時期が排卵時期であるというのが重要で、排卵時期に一致しない検査結果であれば診断的価値がありません。また精子検査に問題〔たとえば運動精子が少ない、数が少ないなど〕があれば、女性側に異常がなくてもテストの結果は良好とはなりませんし、性交後からの時間がたって検査を行えば、当然精子の存在も大きく変化していきます(原法では性交後2時間以内となっており、現実には性交後2時間での検査は厳密には無理なことが多いと推測できます)。またどのぐらいの精子数が経管粘液中に存在すれば陽性とするかについても、各施設によってまちまちで統一された判定基準もありません。このようにフーナーテストは100年以上以前から知られている検査法でありながら、いくつかの臨床的意義に問題点があり現にアメリカでは多くの施設ではすでに行わないところも少なくありません。これらの条件がすべてクリアーされて今回の結果が出たと仮定して考察してみると、まず男性の精子検査が異常なかったか否か、これが正常なら免疫的自己抗体である精子の運動を抑制する「抗精子抗体」が女性の血液に存在するか否かが重要なポイントになってきます。抗精子抗体は簡単に検査出来ますし、たんにフーナーテストが悪いだけなら経管をクリアーできる人工授精(AIH)にすぐ移行できますので、経管に精子が存在すれば妊娠は可能なはずですので主治医と相談されてはいかがでしょうか。



Q26:ピルを飲んでても。(22歳・女性)
ピルを飲んで3年になりますが、長い間ピルを飲むと体に負担がかかって不妊症になりやすいと聞きました。
将来、子供が産めにくい体になるのでしょうか??
低用量ピルなら安心です。中止することで容易に妊娠する条件に復帰できます。

日本では従来より避妊法としてのピルの使用は極めて少数でした。それは吐き気などの消化器症状のほかに、ピルによってがんが発生する、体重が増える、不妊になるなどの不安が広く女性の中に広まっていたからと考えられます。しかし近年女性ホルモン(エストロゲン)量を従来より1/4に減らした低用量ピルが使用可能になり、副作用も少なくさらにホルモンの組み合わせや新しい黄体ホルモンの改良によって使いやすく、また副作用も少ないピルが開発されて使用されています。またこのうちの1種類は保険適応(ルミナス:月経困難症、子宮内膜症が適応)となって、健康保険でも使用が可能となり中学生や高校生にも使用可能で現在急速に広まりつつあります。本来ピルは避妊目的で開発されたわけですがその薬がもつ有効な作用として〔副効用といいます)服用によって生理が順調になること、生理痛が軽減すること、ニキビが改善すること、貧血が改善すること、生理量が減少することなどに有効であり、それ以外でも子宮体がん、卵巣の良性のう胞、乳房の良性疾患や大腸がんの発症頻度の減少があり、女性にとって極めて有用であることが証明されています。しかしまた当然薬ですのでその使用方法を誤れば副作用もあるわけで、肝心なのは必ず指示されたように服用することと医師の定期的なチエックを必ず受けることです。軽症な副作用としては少量の出血、吐き気や嘔吐などや頭痛、胸が張るなどありますが、服用開始の最初の3カ月以内に多くみられ、服用を持続することで大部分は収まります。重大な副作用としてピルによる血栓症があり、特にスモーカーは危険ですので禁煙が前提です。一日15本以上喫煙する方は禁忌となりますので注意してください。ふくらはぎの痛み、胸部の痛み、圧迫感、目のかすみなどの前駆症状があればすぐ医師に相談してください。現在の低用量ピルはかなり安全で長期間服用も以上のことを守り、医師のチエックを受けていれば長期の服用も問題ありませんが、自己判断で飲んだり飲まなかったり、勝手に中止したりすることは危険です。必ず医師の管理のもとで服用するようにしてください。また服用を中止すると3〜4カ月で排卵が起こり妊娠可能となります。長く服用しても不妊となることもなく、体内に蓄積することや、中止後の妊娠で、赤ちゃんの先天異常が増えることもありません。



Q27:二人目妊娠希望(25歳・女性)
現在、1才2か月になる子供がいます。
私は、昔から生理不順で来ない時は、3か月以上来ない時も少なくありません。一人目の時も薬を使って生理を起こし、クロミッドを使って排卵出来るタイミング方法で、やっと授かる事が出来ました。
そろそろ、二人目が欲しいのですが生理不順で薬を使わなと生理すら来ません。クロミッドを使っても卵子が育ちません。やっぱり、二人目を作るのは、難しいのでしょうか?
多のう胞卵巣症候群(PCOS)の可能性が大です。肥満や痩せ、糖尿病の家族がいませんか?最適の排卵刺激法を選択すれば妊娠は可能でしょう。

現実には無排卵症とそれに伴う排卵障害があると考えられますと考えられますので、この原因をチエックすることが重要です。一度分娩を経験しているので,先天的な原因の可能性は少ないのですから、これらを除外しで排卵のメカニスムより考えると、ホルモンコントロールの中枢である視床下部の機能に異常のある間脳視床下部性無排卵症の可能性があり、この中には体重減少や、過度の運動がきっかけで無排卵となったり、ストレスなどで下垂体からの卵胞刺激ホルモン分泌〔FSH〕が低下するタイプがあります。このタイプは特に若年者に多くみられます。この中の特殊な例としてプロラクチン分泌が過剰となる高プロラクチン血症があり、この場合特に気をつけなければならないのは、下垂体の良性腫瘍であるプロラクチン産生腫瘍の存在を常に念頭に置かなければなりません。もし授乳中でないのにたとえ微量であっても乳汁分泌が持続していたら一応この疾患も念頭に入れて検査を受けましょう。次に卵巣機能そのものに問題がある場合はやや治療が難しくなります。特殊な例として多のう胞性卵巣症候群(PCOS)があり、背景に肥満や痩せが関与して発症する病態とされています。日本産婦人科学会のPCOS診断基準では@月経異常がありA超音波で卵巣に多のう胞を認めB男性ホルモン高値かLH高値かつFSH 低値などの特徴を認める場合とされています。PCOSには肥満を伴う症例が少なくなく、同時にインスリン抵抗性といって前糖尿病的体質を有する場合があり、50%の方に肉親に糖尿病の家族歴を有することが知られていますので、このような体質〔インスリン抵抗性〕の有無のチエックも大切です。治療としてはプロラクチンが高値なら下垂体線腫の有無を検討の後、薬物療法(カバサール、テルロンなど)でプロラクチン低下を測ります。肥満の減量によってしぜん排卵回復が見られることもあり、排卵回復が無い場合には排卵誘発剤が必要となります。この場合もインスリン抵抗性があればこれを良くするメトホルミンを併用して、クロミッドまたはゴナドトロピン注射療法にて多くの例は排卵し妊娠可能となります。



Q28:精子の運動率を上げるにはどうすればよいですか?(39歳・女性)
昨年9月から不妊検査をはじめました。
私は高プロラクチン血症とのことで薬を服用しています。ただ主人の精子の運動率がとても低く一桁のときもあり、人工受精は3度試してだめだったので今度は顕微受精をします。できることはなんでもしたいのですが、精子の運動率を高くするにはどうしたらよいのでしょうか?
運動率低下の原因は調べましたか?精子無力症でも原因によっては治療に反応するケースもあります。特に尿路感染の有無とホルモン値の測定は重要です。

男性側に原因のある場合を男性不妊と言い不妊症カップル全体の40%を占めますので決して少ない訳ではありません。うち25%は男女双方に原因があるとされています。しかし男性側の症例で精液検査に問題があった場合に、医学的にはっきりした原因が特定できない群〔特発性〕が約59%を占めますが、原因が発見される症例のうち20〜30%は精巣静脈瘤と言って睾丸の表面に蔦が這ったように静脈が浮き出ている病気が存在し、5〜10%に精子を運ぶ道〔精子輸送路〕の異常が見られ、そのほか性機能障害〔ED〕やホルモン的異常、性染色体異常〔XXY症候群〕耳下腺炎に併発した精巣炎や、体内に睾丸が残った停留睾丸などがあげられます。これらの原因がご主人にあるか否かを一度主治医か泌尿器不妊専門医に相談して原因の究明は一度行っておくべきでしょう。WHOの基準値では精子濃度は2千万/ml以上で精子運動率50%以上を正常としていますが、特に頻度が多いのは、精子の数が少ない乏精子症と、運動率の低下している本例のような精子無力症です。これらの精液に異常を認める原因で90%は精子形成不全〔睾丸で精子が上手く作られないこと〕で、その根本原因は特発性といって原因不明の症例が半分を占め、臨床的には漢方薬、循環改善薬薬、ビタミン剤などが経験的に使われていますが、その効果は20%程度ですので、治療に困難を感じられる場合には早めに人工授精から体外受精、顕微授精へとステップアップも考慮すべきでしょう。しかし前立腺炎や尿道炎、副睾丸炎などの細菌による感染症での精子機能低下症や運動能の低下症例には抗菌剤投与が有効です。最近では、内分泌的原因の下垂体ホルモン分泌不全である低ゴナドトロピン性の性腺機能低下症には純粋なFSHの自己注射による治療も保険診療に認められ、自己負担分も公費での補助が認められるようになってきたので、患者さんにとっては福音となっています。いずれにしてもきちんとした男性不妊の原因究明が早めの妊娠成立に結び着きますので、ご夫婦での同時並行的検査治療をお勧めいたします。



Q29:子宮内膜症と言われて3年目でも子供は出来るの?(19歳・女性)
私は子宮内膜症と言われて3年が経ち、主治医に妊娠を希望するなら年内に子作りした方が良いと言われました。
婚約者とは話合ったのですがいまひとつ子作りに協力して貰えません。こんな状態なので主治医に言われた事に焦りを感じてしまって本当に今から子作りしないといけないのかと不安です……。
やはり年齢が若くても症状や進行具合が酷ければ早く子作りした方が良いんでしょうか……?
妊娠も確かに子宮内膜症の治療とはなり得ますが、年齢、未婚であること考えますとまだ多くの検査・治療の選択肢があると考えます。

子宮内膜症は子宮内膜組織とよく似た組織が子宮の内外に発生・発育する疾患で、最近その頻度は生活習慣の変化や診断技術の進歩で増加しつつあると言われています。その発生部位は子宮・卵巣にとどまらず,膀胱や骨盤内に広くみられ、時には腸管,肺,臍などにも発生します。現在では生殖年齢の女性の10%に存在すると推定されています。どうしてこの様な病気が発生するのかはいまだ不明ですが、月経血が子宮から卵管を通じて腹腔内に逆流するためとの説が有力です。生理の無い初経前や閉経後に新たに発生することはなく、妊娠分娩の経験者にはこの疾患が少ないことから主として女性ホルモン(エストロゲン)が関与しているとおもわれます。症状は月経時の下腹部痛、腰痛、排便痛であり不妊症患者さんではその頻度が通常より3−4倍存在するので、不妊検査をきっかけに本症が発見されることも少なくありません。診断は上記の特有な症状のほか内診時の痛み、子宮後屈のほか超音波検査やMRI検査で卵巣にいわゆるチョコレートのう胞といわれる特有な腫瘤を認めることから診断されることが多く、さらに血液中の腫瘍マーカーであるCA-125が高値を示せばよりその疑いは濃厚になります。しかし確実な診断には腹腔鏡検査(臍部よりスコープを入れて腹腔内を観察して手術を行う方法)か開腹の診断によります。治療は薬物療法と手術療法があり年齢、不妊症歴などによって選択されます。一般的な薬物療法はアナログ点鼻薬と注射法、ダナゾール、黄体ホルモン連続投与法、低用量ピル、鎮痛剤投与などから選択しますが、舉児希望のある場合で不妊の主原因が子宮内膜症と考えられる場合は腹腔鏡手術が積極的に選択されます。軽度の内膜症では腹腔鏡下の病巣の焼灼と洗浄だけでも妊娠率は上昇し、重症例でものう胞の摘出と癒着刎離、洗浄によって妊娠しやすくなることが確認されております。したがってしっかりとした診断と治療方針を決めることが肝要です。



Q30:重複子宮と膣中隔不全(34歳・女性)
不正出血があり、婦人科に行きました。黄体ホルモン不全で、高温期は10日もありません。超音派で何度か診てもらううちに、重複子宮で膣中隔不全が分かり、年齢も若くないため、人工受精か膣中隔を切除する方法がいいと言われ、タイミング法で2回チャレンジしましたが妊娠しませんでした。やはり、自然妊娠は難しいのでしょうか?
タイミングでは妊娠は難しいでしょう。また上手く妊娠できたとしても、流産を繰り返す不育症となることもあり、ケースによっては手術療法が必要となりますので不妊または不育専門医と相談しましょう。

子宮奇形は子宮の形態異常〔子宮の形が正常ではない〕を指します。2つあるミュラー管という本来女性性器に発育すべき臓器(原基)が胎児発生の過程で左右の対照の管から発育しながら、次第に1つの臓器に癒合してゆき、最後に真中の中隔と呼ばれる部分が消えて、1つの袋のようなヒト子宮が出来上がります。したがって哺乳動物の子宮とは元々2つの子宮から1つに出来上がるものですので、例えば癒合発育をしないマウスの子宮は2つの部分(重複子宮)に分かれているのが正常の形です。子宮奇形の頻度は一般女性では4,3%、不妊症患者で3,4%、不育症患者で12,6%との報告があり決して珍しいものではありません。またその形態学異常から分類してみた欧米のある報告では、もっとも軽度の異常である@弓状子宮(子宮底の部分が弓のようにやや膨らんでいる形)が15〜18%、A双角子宮(子宮底が尖状)26〜37%、およびB中隔子宮(子宮癒合部分が一部残存)8,2〜11.1%とこの3つが頻度が高く、C重複子宮(子宮が2つある)8,2%〜11.1%D単角子宮(子宮と卵管が1つで片方が無い)(4.4=9.6%)とやや頻度が低くなります。ET型子宮というホルモン使用後に発生するタイプもありますが、日本ではこのホルモン剤が使われなかったため存在しないと言われています。一方日本では弓状子宮が最も頻度が高く次いで中隔子宮、双角子宮の順で見られ、欧米とはやや趣が異なっているますがその理由は不明です。治療を考える場合にはタイプによって、治療方法が異なりますので正確な診断が必要です。子宮卵管造影法(HSG)超音波検査、子宮鏡、MRI,腹腔鏡などにより確実な診断を行ったうえで、治療方針を決定します。弓状子宮、重複子宮、T型子宮などは手術療法を選択せずに経過をみる場合が多いのですが、中隔子宮は流産率が高いので、積極的な手術療法がえらばれることが少なくありません。この場合形成術といって、形に問題のある部分に対して、子宮鏡下中隔切除術が患者さんへの負荷が少なく好んで行われています。開腹して行われる手術も以前は行われましたが現在では少数派となっています。いずれにしても重複子宮と膣中隔(膣部分まで分離が不完全)は明らかに不妊の原因と考えられますので不妊専門医への受診を一度考えましょう。



Q31:卵管造影の検査(25歳・男性)
不妊治療を半年前から始めたのですが、先日妻が卵管造影検査を受けた結果、卵管が詰まっているか閉じていると言われました。病院では自然妊娠は難しく、体外受精をすすめられましたがそれしか方法はありませんか?
一度の卵管造影検査では不十分の場合があります。再度行うか腹腔鏡検査をお勧めします。

卵管造影検査で閉塞しているとの事ですが、私たちの経験ではX線による卵管造影検査と直視下の腹腔鏡検査(ラパロと略)による通水で30%ぐらいの相違が見られました。したがってすぐに体外受精を望まないときには腹腔鏡検査を受けることも一つの方法です。婦人科の腹腔鏡検査はもっとも歴史が長く専門医制度(産婦人科内視鏡学会)もありますので安心して受けることが可能です。不妊症で腹腔鏡を行う意義は目で直接病巣を観察できることにあるます。そしてその所見から治療法を選択できることにあります。特に骨盤内癒着とりわけ卵管癒着の上体や卵管采の状態をはっきりと把握し、さらに癒着剥離を行いことで術後に自然妊娠が可能か否かが判断されます。そのほか子宮内膜症の有無や原因不明の長期不妊症例なども対象になります。また最近では治療目的の腹腔鏡手術が多く行われるようになり、子宮筋腫核出術や多のう胞性卵巣症候群卵巣への楔形切除、ドリリング施行術なども積極的に行われています。ラパロによる卵管の評価は、卵管周囲・卵管采の癒着状況、その範囲、片側または両側か?卵管のう腫の有無を見て、色素(インヂゴカルミン〕を卵管に通水して見て通過性を検討する。次に洗浄液で卵管を浮かせて卵管采の内側を観察するという順序で行い、卵管周囲癒着を認めて癒着剥離をおこなった後の妊娠は26.2%と報告されています。卵管采の癒着時には癒着剥離術で28%の術後妊娠率が得られると言われています。卵管の末端部が閉じていて卵管のう腫となっていた場合には一般的に切除を行ってから体外受精胚移植をした方が良好な成績がえられると言われています。癒着が少なく、のう胞壁が薄い場合には、開窓術が行われることもあり、卵管性不妊に体外受精を行う前に、ラパロ下の観察と手術療法は一度試みてもよいでしょう。また卵管に閉塞を認めた場合には卵管鏡下卵管形成術(FT)を行うことにより術後30%の妊娠率があったとの報告もあり卵管性不妊イコール体外受精とはならない事も知っておきましょう。その他子宮内膜症の診断・治療も可能なことよりラパロは婦人科領域では重要な手段ですが、全身麻酔下手術で入院を要しますのでやや患者負担が重くなります。



Q32:やっと薬で排卵するようになったのですが…(24歳・女性)
月経不順のため婦人科へ受診したところ、薬で生理を起こさせ、排卵が起こっていないとのことで排卵誘発剤を飲んでいます。受診してから半年経って、やっと排卵が起きました。
自然に月経も排卵もするようになるのでしょうか?このまま薬でないと排卵が起こらない場合、胎児への影響はありますか?今、結婚を考えているので、妊娠できる体になるのか不安です。
基礎的なホルモン値はどのような値であったのでしょうか?これにより排卵できない原因や重症度が判明します。

無排卵症の可能性が高いようです。まず最初になぜ排卵が起こらないのかを検討しなければなりません。すなわち排卵障害の重症度及び原因の確認です。検査の手順としては、最初に体内にある程度の女性ホルモン(エストロゲン)産生があるか否かを調べる目的で、黄体ホルモン注射を行い、子宮出血があるか(第1度無月経)ないか(第2度無月経)によって重症度を決めることができます。次にホルモン採血(FSH,LH ,PRL,女性ホルモン、男性ホルモン)測定による障害部位の決定です。低ゴナドトロピン血症性(FSHが低い)排卵障害として@間脳に原因がある重症の2度無月経(WHIグループT)や、A正ゴナドトロピン性排卵障害(基本FSH,LHが正常)で下垂体障害原因(WHIグループU)、これには男性ホルモン高値の多のう胞性卵巣症候群(PCO)を含み、かつより軽症な無排卵周期症、黄体機能不全,希発月経などもこのグループに含まれます.B高ゴナドトロピン血症(基本FSHが高値)は卵巣性無排卵症(WHIグループV)とされ、ほかにC高プロラクチン血症性排卵障害(WHIグループY)やDその他の先天性、後天性精路異常などと細かく分類されており、このグループ毎に治療が各々異なるのでやはり生殖医療専門医の適格な診断と治療方針の決定が必要です。妊娠可能の基本的な条件は排卵があるということですから、あなたの場合も妊娠を望む時が来たら排卵刺激剤治療(内服薬と注射薬が主)を受ける必要があるでしょう。また排卵障害の中には遺伝的原因を継承している症例も少なくありませんので治療は長期にわたることが多く見られます。女性側原因の不妊症全体のうち排卵障害が原因の方は30%と多いのですが、現在では多種類の有効な治療の組み合わせが選択できその効果も高く、多胎の発生率や卵巣過剰症候群など頻度はやや高くなりますが、新生児の奇形発生率上昇は見られないようです。排卵障害そのものも妊娠分娩を契機に改善することも少なくなく、妊娠がその後の治療に結びつく可能性があります。



Q33:無精子症〔男性不妊?〕(25歳)
子供が欲しく、半年ほど毎晩のように子作りに励んでいるのですが、なかなか子供ができません。無精子症なのでしょうか?無精子症かどうかを調べるには、医者に行ってどのように調べるのでしょうか?
不妊の原因は男性因子とは限りません。男女半々に原因がありますので、必ず系統的な不妊検査を受けて原因を確認してから治療しましょう。ここでは男性に原因があると考えて検討してみました。

男性不妊は精子の数が少なかったり、精液検査を行って動き〔運動率〕が悪かったり、奇形の精子が多いような場合に男性不妊と診断します。射精された精液中にまったく精子が存在しないような場合には、無精子症といってもっとも重症な男性不妊と診断されます。無精子症についてはすでに以前にも本相談コーナーでも取り上げましたので今回は省略し一般的な男性不妊について述べてみましょう。男性不妊のスクーリニングは女性に比べて簡単です。3〜5日禁欲したのちに自宅や採精室でマスタベーションによって採取した精液を採取後2時間以内に顕微鏡下にて調べることから始まります。通常精子数、運動率、奇形率、精液量などをチエックして正常値との比較で、精子数の少ない乏精子症、動きの悪い精子無力症などと分類して不妊原因が男性側に存在するか否かを検討します。異常か否かを診断するには1回ではなく複数回の検査での判定が推奨されています。また連日射精を繰り返していると一回当たりの精子数はだんだん減少する可能性があり3〜4日の間隔をあけて性交するか、きちんと排卵日を推定しての性交が重要です。男性不妊の原因としては@90%が造性障害〔精子製造能力の低下〕で原因不明が大部分ですが、尿道炎、染色体異常、停留睾丸、ホルモン分泌低下症、精巣静脈瘤、外傷などが10%程度あり、次いでA精管閉鎖、パイプカット後などが原因の閉塞性無精子症次いでB精子は一見正常であるがその機能の低下した例たとえば肥満、飲酒過多、喫煙などの生活習慣に起因するものC勃起障害や射精障害などのグループに大きく分けられます。Aの無精子症は閉塞性と非閉塞性に分けられ、睾丸から直接精子採取をするなどの外科的処置が必要の場合が多いですが、その他は薬物療法をまず試みて反応の良くない場合は少ない精子を濃縮して用いるなどの操作(人工授精)を早めに受けてステップアップすることで解決できます。いずれにしても男性不妊は全体の40〜50%を占める訳ですので不妊治療において必ず検査を受け、必要なら治療を行った方がより妊娠に結びつく可能性があると考えられます。



Q34:2度の流産、甲状腺の病気?(28歳・女性)
私は昨年2度の流産をしました。2回とも稽榴流産でした。それから妊娠に向けて産婦人科でタイミング指導を受けてきました。それから妊娠せず、先生から甲状腺の疑いがあるとの事で血液検査をしました。結果はまだですが、甲状腺の病気だと不妊だとか流産の原因とか聞きます。もし甲状腺の病気でも、自然に妊娠、出産できるのでしょうか?
甲状腺の病気は多くは女性が罹患します。また生殖機能と甲状腺機能は密接に関係していますので、甲状腺に異常がある場合にはそちらをますコントロールしてから不妊治療に入ることが肝要です。

2回の流産歴があるとの事ですから習慣性流産に準じて検査を受けておいた方がよいでしょう。甲状腺は重要な内分泌臓器で発育・成長、たんぱく質代謝、糖代謝、脂質代謝、体温調節など生括するうえで重要な生理作用を持っています。甲状腺に異常が起こると様々な全身的病態を起こしますが、生殖に関連しては女性の月経異常や習慣性流産、男性でも精子製造能力の低下などが引きおこされますので不妊症の検査では必要に応じて甲状腺機能検査を行わなければなりません。実際に基礎的研究でも実験動物への甲状腺摘出術や坑甲状腺剤投与で卵巣機能が低下することが確認されています・。一般に甲状腺機能異常を示すのは女性に多く、男性の4〜5倍の頻度で認められますので月経異常や習慣性流産の場合には甲状腺チエックはスクーリニングとして不可欠です。スクーリニング検査は採血を行い、ホルモン測定をするだけですのでかんたんです。ホルモン値で異常を認めた場合には甲状腺ホルモン過剰症〔機能亢進症〕と、ホルモン低下症〔機能低下〕に分けて治療を行うか否かを検討します。機能低下症の方が不妊,妊娠に与える影響はやや高いと言われ、甲状腺機能低下症は直接中枢ホルモンを低下させ、卵巣のホルモン分泌(女性ホルモンと黄体ホルモン分泌)に直接影響を与えています。特に坑甲状腺抗体が存在すると流産しやすいことが知られ、対照と比べて2倍の頻度にみられています。また甲状腺ホルモン低下症ではプロラクチンが高値となり結果として無排卵症となることもあります。上手く妊娠に成功した時には、甲状腺機能異常に気がつかないまま妊娠を継続すると胎児体重低下、死産、未熟児、時には新生児の知能障害など出現することがありますが、妊娠中にしっかりと甲状腺ホルモン補充がされて管理されていれば心配ありません。甲状腺機能亢進症では無月経は報告されておらず、妊娠しにくいとの報告も少ないようです。一般に妊娠すると正常例でも、胎盤より甲状腺刺激ホルモン様の物質が産生されるので、必要なホルモン量のコントロールが困難になることが多いので,産科医と甲状腺専門医との共同管理が妊娠中は重要となります。



Q35:排卵はしているものの…(28歳・女性)
先日、基礎体温表を持って病院に行きました。エコー上、診察に行った2〜3日前に排卵していた様ですが、通常排卵後の子宮内膜の厚み1センチが私は5ミリ程度で薄いと言われました。内膜を厚くする治療などあるのですか?それとも、毎月排卵の状態で厚みは違うのですか?中絶を2回しているのですが、2回の掻爬のせいで薄いのでしょうか?
子宮内膜の厚さは着床にとって重要です。その状態は周期によって異なりまた薄い原因は1つではありませんのでまず全身の血流を改善することから始めましょう。

子宮内膜は受精卵にとっては最後にたどりつく場所であり、そこが受け入れてくれなければ、妊娠すなわち着床は成り立ちません。特に排卵後の子宮内膜(高温相の子宮内膜)は分泌期と言って糊のような分泌物を出しながら、卵管内を分割しつつ成長してきた胚を着床させるべく待ち受けているわけです。この着床現象こそが妊娠できるか否かの最後の段階と言えるわけです。特に受精卵の方は胚盤胞という着床直前の状態まで体外で培養できるようになっており、これを子宮内に戻しても妊娠に至らない例は子宮側に問題のある着床不全と推定され治療の現場では大きな問題点となっています。一般に子宮内膜の胚に対する受け入れ可能な時期は決まっておりこれを「着床の窓」と言います。この期間は排卵後4日目ごろから数日の間と言われ、しかも不妊症の患者さんではこの期間がさらに短縮している事が判明しています。この期間で胚側と母体側が相互に応答しながら着床へ導くわけで、このどちらに問題があっても妊娠は成立しないわけです。では着床に適した子宮内膜とはどんな状態をいうのでしょうか?「着床の窓」が開いている時期には子宮内膜の上には胚を接着させる物質(ピノサイトといいます)が現れてくることが注目されてきていますが、その現象は残念ながらいまだ十分には解明されていません。また逆に胚の接着を阻害する物質も存在し、着床期にはこのような物質の産生低下や、機能低下がみられることも観察されています。このような分泌物質の存在以外にも子宮内膜は着床期において胚を受け入れるため子宮内腔にせり出すような形態変化をすると言われています。またホルモン分泌面から着床期の子宮内膜を検討すると排卵前のエストロゲン分泌の状態が良好子宮内膜の発現に重要な働きをしていますが、着床期にはさらにプロゲステロンの分泌量が十分無いと良好な子宮内膜が準備されません。このように内膜特にその厚さは着床に重要です。具体的な着床不全は粘膜下子宮筋腫や子宮奇形、内膜ポリープの存在、手術後に起こる内膜の癒着や変形、細菌などによる子宮内膜炎などが原因として考えられます。これらが存在しなければ現実には血流が良いほど内膜が厚くなることが判明しており、日常生活での血流改善が大きなポイントとなります。



Q36:子宮頚癌ワクチンで不妊になるのか?(35歳・女性)
昨年3b高度異形上皮で円錐切除術をしました。結果、癌細胞もなくその後定期検査をし順調に異常なしの結果がでました。今年の4月にHPVの検査をし、幸いにも悪い型のウイルスはなく主治医に子宮頚癌のワクチンを打った方がいいと言われ、今時点で2回接種しました。最近ネット上でこのワクチンを打つと不妊になると書かれていてすごく不安になりました。妊娠を希望しているのでこの不妊説が真実かどうか知りたいです。
まずネット情報で一憂一喜するのはやめてよく主治医に確認して見ましょう。現在HPVワクチンが不妊症を作るとの医学的情報は存在しません。

多くの無責任な不妊情報がネット上に氾濫していますが、それらは責任を持って記名したものではなく、人を混乱させるような悪質な情報も少なくない事をまず認識しましょう。子宮頚がん予防ワクチンは素晴らしい発見で、この端緒を作った学者は昨年度ノーベル賞を授与されています。子宮頚がんはヒトパピローマウイルス〔HPV〕感染を原因とするがんであり、日本では毎年1万5千人の方が感染し、3千5百人の方がお亡くなりになっています。HPVはすべての女性の約80%が一生のうち一度は感染していると報告される極めてありふれたウイルスです。しかし感染が数年持続すると子宮頚がんが発症する可能性があり、近年20代30代での頚がんの発症例が増加しています。感染から癌の発症までかなり長い時間がかかるのできちんと検診をしていれば早期に発見でき、またワクチンでほぼ100%近く予防ができる唯一のがんです。このワクチンは昨年12月に日本で発売されましたが世界では100番目とかなり遅く、多くの方がその存在を認知せず、費用も保険が適応されない事や値段も高価であることも問題として残っています。多くの女性は一生のうち一度は感染すると言われていますが、その大部分は一過性の感染で自然に排除されますが、一部の持続感染をした症例の中から、ある時期を経て癌化に向かうことが知られています。このHPVウイルスは性交で感染するので性交経験がある方は感染チャンスがあるので、性交開始年齢以前〔12歳ごろ〕までにワクチンを使用すれば、理論的には20年間ぐらいの予防効果があり、現在諸外国では積極的に児童への摂取が進められています。不妊症の患者さんは通常よりやや感染の頻度が高いとの報告もあり、私の患者さんでもようやく妊娠に成功した症例に頚がんが見つかり、妊娠子宮ごと摘出した悲しい経験もあり、不妊治療の前にはワクチン接種を是非受けた方がよいでしょう。接種そのもので不妊症となるとの報告はありません。また妊娠を知らずに接種した場合でも中絶する必要はありません。



Q37:妊娠希望です(38歳・女性)
結婚して3年。子供が欲しいのに、なかなか出来ません。病院には行ったりしてないんですが、不妊治療を行った方がいいのでしょうか?生理はだいたい周期通り来ます。基礎体温も毎日計ってますが、低温期と高温期もちゃんとあるので、妊娠しやすい時期に試してはいるのですが‥。
厳しいようですが考え方を変えましょう。あなたは立派な不妊症です。「あわてず、急いで」専門医へ早めに受診し、早めのアドバイスを受けるべきです。

赤ちゃんを希望して避妊せずに2年以上経過したカップルは医学的に不妊症と診断されます。これは日本の学会の基準ですがアメリカでは1年間で不妊症と診断されます。多くの女性は一般的に自分で自己診断して生理が毎月あり、基礎体温が低温、高温〔2相性〕に見えればすぐに妊娠すると考えがちですが、妊娠のメカニズムはそれほど簡単ではありません。しかも最近の初婚年齢の上昇と、社会的な地位の向上、生涯仕事をしたいという女性の権利意識の上昇は妊娠しやすい時期を逃してしまった不妊女性を増加させているとも考えられます、では治療をせずに自然に妊娠する確率はどのぐらいあるのでしょうか?過去の多くの統計から、舉児希望があり避妊をしないと6カ月以内に65%のカップルは妊娠し、1年以内に80%、2年以内には90%が妊娠することが判明しています。のこりの10%が不妊症となります。日本ではこのようなカップルが140万組いると推定されていますが、現実にはそのうちの30%しか何らかの不妊治療を受けていないと推定されています。アメリカの不妊専門学会である米国生殖医学会は数年前より不妊症の予防についてキャンペーンを行っています。この中で大切なことはまず生活習慣の見直しをしようと主張しています。まず禁煙を夫婦で行なうことです。喫煙は不妊症の大きな原因であり、男性不妊では精子を減少させ女性では卵巣での卵の質を低下させています。また飲酒にも警告を発しています。53%の不妊夫婦が飲酒を行っており、77%が必要のない常用薬物を用いているとも言い、クラミジアなどの精感染症の治療を十分受けていないこと、90%の女性が40歳になっても生理さえあればいつでも妊娠できると考えていることなどや肥満に無関心であることなどあげてこれらの日常の生活習慣に気を使えば、遺伝的な原因を除いて70%の不妊患者さんは不妊症となることを予防できると述べています。また女性の卵巣機能は37歳を契機に急激に低下し、受精着床のチャンスは少なくなります。あわてなくてもいいですが、医師との相談は急ぎましょう。



Q38:体外受精(42歳・女性)
子宮外妊娠を二回両方のらんかんが無いため体外受精の道しかありません。以前にも三回体外受精を試みましたがダメでした。今になってもう一度と思っているのですが、この年齢では確率も低いでしょうか?
年齢的にはかなりきびしいと思いますが、希望が無い訳ではありません。個人差も大きいので早めに信頼できる不妊専門医と相談しましょう。

体外受精の妊娠率は女性の年齢と逆比例します。ちなみに20代では体外受精の1回あたりの妊娠は40%、30〜34歳で32%、35−39歳で19%、40歳以上で8%【当院の成績〕です。妊娠の最高年齢は45歳でそれ以上は今のところ存在しませんが日本では49歳という例があるようです。また若い女性の卵をもらってご主人の精子と受精させ自己の子宮で育て分娩する方法(卵子提供)もあり、最近日本でも著名な女性政治家がアメリカでこの方法を受けて妊娠をしたことを公表しました。しかし日本国内では、ほんの一部のみのクリニック施設でしか行われておらず、しかも日本産婦人科学会ではこのような方法を公式には推奨していませんので、まずは通常の夫婦間体外受精での妊娠を目指すこととなるでしょう。一般的に通常の体外受精で男性側に問題が無ければ、もっとも妊娠率の高いのは卵管性不妊〔卵管に問題がある場合〕です。その意味では過去に妊娠経験があり卵管性不妊と判明しているわけですから、期待はまだまだ持てます。しかも最近ではDHEA〔デヒドロエピアンドロステロン〕という若返りホルモンを使用した採卵法も報告され、私たちも試していますが高齢の卵巣予備能低下症例にもある程度の効果はみられますので主治医と相談しましょう。両方の卵管が存在しないので妊娠するためにはもちろん体外受精しか残されていませんが、その場合でも従来の成績からは採卵で受精卵が獲得できたら、そのまま移植をしないで、凍結保存をしてレーザーによる透明帯の開窓(アシストハッチング〕をして子宮に戻すのが最も成績が良好のようです。高齢になると自然周期や低刺激周期採卵を勧めるクリニックも少なくないようですが、この点に関しては意見が分かれるところで、ネットでの口コミに頼らずに必ず自分が受ける方法でどのぐらいの妊娠が期待できるかを主治医に直接確認してから施術を受けるようにしましょう。これは卵巣予備能には個人差が大きく年齢を考慮したうえで、いかに自分にあった刺激法で質の良い卵を獲得できるかが、妊娠成功のポイントとなるからです。



Q39:顕微受精で胚盤胞移植をしました。判定日まで気をつけることは?(35歳・女性)
顕微受精を二回やりました。一回目は8分割で受精3日目に移植して妊娠できませんでした。二回目は受精5日目の胚盤胞を移植しました。判定は一週間後なのですが、気をつけることなどありますか?また着床したときには何か兆候がありますか?
体外受精、顕微授精を問わずART後の過ごし方で大切なのは着床期以後の子宮収縮の発生を防ぐことです。また妊娠と判断されても安定期までには数週を要しますので子宮の安静を保ちましょう。

顕微授精が最初から選択されている事は、男性因子のためでしょうか?顕微授精や通常の体外受精などの高度生殖医療の進歩によって受精現象は大きく解明されていますが、それでも妊娠率は平均20%台から30%台で大きな改善はみられていません。その原因は子宮に移植した受精卵が上手く子宮内膜に着床する確率がまだまだ少ないからと考えられます。着床のサインは血中のhCG値によって判定されるので、これ以外での早期の着床診断は現実には無理ですから、判定前に何らかの兆候のみで診断することは不可能ですので、あと1週間はゆったりとした心境で結果を待ちましょう。受精卵が子宮内膜に接着してそこに入り込むことが妊娠の成立〔着床〕です。この時の着床部の絨毛から産生されるのがhCGというホルモンですのでこの物質が妊娠判定のマーカーとなっているのです。言い換えればhCGが陽性になったとのことは受精卵が無事に子宮内膜に着床したことを示します。また一度着床した受精卵が離れてしまうのが流産です。一般的には体外受精、顕微授精時に受精卵が獲得出来て、子宮に戻すこと(胚移植)で上手くゆくかどうかは2つの側面があります。1つは移植する受精卵が着床できる優秀な卵か否かであり、胚盤胞まで順調に育っていれば卵側の条件は一応クリアーされたと考えてよろしいでしょう。次は受け取り手の子宮側の条件です。野球に例えればよい受精卵はピッチャーが投げたストライクボールであり、子宮はこれを受け取るキャッチャーのミットにもたとえられます。ミットがしっかりと投げられたボールを捕球すれば妊娠成立〔着床〕であり、捕球できなければ妊娠は成立せず、一度捕球したボールを落とせば早期の流産となります。子宮が受精卵を受け取りやすいのは、「着床の窓」という最適時に子宮内膜に到達しており、十分な内膜の発育と粘液分泌があり、ゆったりとしたふかふかのベット状態の時が最適です。このためには十分な黄体ホルモン分泌〔すなわち黄体機能不全が無いこと〕、子宮血流量や子宮筋肉が緊張していなくて、過度に収縮していない事などが重要です。このように受精卵と子宮内膜の条件が一致した時に着床〔すなわち妊娠〕が起こると考えられています。



Q40:妊娠しません(23歳・女性)
3年前に一度流産しました。4年前に一度中絶しました。それから3年間妊娠しません。私は妊娠しない体なのでしょうか。一度基礎体温を測って調べた方がいいのか悩んでいます。
年齢も若く、しかも過去に2度の妊娠歴があればこれから妊娠できる可能性は大いにあります。しかし3年間経過しているので積極的に検査を受けるべきでしょう。

年齢と過去の妊娠歴より妊娠できる可能性は大いにあります。しかし過去3年間避妊をせずに妊娠しないとすれば、現在は立派な続発性不妊症です。したがってその原因についてそろそろ検討を始めた方がよろしいでしょう。不妊の原因としてはWHOの報告によると先進国間にはあまりその頻度に差がありません。だいたい40%は女性側の原因であり、25%は男性側で、25%は男女両方にあります。本当意味で原因不明例の機能性不妊は10%程度ですので、不妊の専門家が診察検査すれば多くの症例はその原因が判明し、それに沿った最適な治療を行えば80%ぐらいの方は妊娠することが可能です。したがってあなたも不妊の系統的な検査を受けることで妊娠が可能になる可能性が高いでしょう。自分で出来ることとして基礎体温記録は必ず必要です。そして受けるべき基本的な検査としては、男性側の精液検査〔精子数、運動率、正常精子形態など〕、女性側検査はとして、血液ホルモン状態を測定して、排卵の有無や黄体機能不全が無いかなどの卵巣機能検査、子宮卵管通過性検査、クラミジアなどの感染症の有無、精子との相性を見るフーナーテストなどがあり、これらによって頻度的に多い不妊原因を検索して治療の方向性を決めます。もちろんこの基本的検査〔すなわち必ず不妊症ならば必ず受けなければならない検査〕で判明する原因は半分ぐらいですので、この時点ですべてが解明できるわけではありませんが、この基本的検査が終わればできるだけ早くタイミング療法を6カ月ぐらい行い妊娠しなければ人工授精(AIH)に入ります。この段階〔一般不妊治療〕終了までで通常2年間ほどかかりますが、約50%の方が妊娠に成功します。ここまでで妊娠できなかった場合にはかなり重症な難治性不妊症と考えられ、より高度な不妊治療〔体外受精、顕微授精などのARTといわれる特殊不妊治療〕を念頭に置いて治療のステップアップを考えましょう。なぜならばこの段階までに妊娠できないときには今までの一般不妊治療では判明しなかった女性の体内で起こっている卵と精子の受精が可能か否か、受精卵の順当な分割、発育、子宮内膜への着床などに問題がある可能性があり、このような現象は一般不妊治療で妊娠しない症例の約半数に見られますので、専門の不妊治療施設への受診が必要となってきます。また妊娠成功の大きなポイントは女性の年齢です。35歳まではどのような不妊治療にもよく反応しますので出来るだけ若年からの治療開始がお勧めです。



Q41:精子のタネ(34歳・女性)
彼氏は今34歳なのですが、18歳頃に高熱が出たらしくて、その時にタネが少ないか?ないかもしれないと言われたそうです。ちゃんとした検査はしてないから、どうなのかわからないのですが、この先、妊娠するのは難しいのでしょうか?
まず泌尿器科や不妊専門クリニックで無精子症のきちんとした原因検査を受けるべきです。現在では精子が精液中に無くても妊娠可能な場合があります。

精液中に精子が存在するか否かは不妊カップルの治療を考える時には最大の要因の一つです。存在しない場合には無精子症といわれますが、原因として@精巣での精子形成が上手くゆかない例(非閉塞性無精子症)とA精子の通過路(精路)の閉塞による閉塞性無精子症に分けられます。18歳ごろに発熱しそのあとに無精子症が発現したということなら、原因は@の精子形成障害である可能性があります。この病気のきっかけは男性性器の炎症(睾丸炎)であると考えられます。ほとんどは「おたふくかぜ」(流行性耳下腺炎)によるもので耳下腺炎発症後に3−4日で高熱とともに片側または両側の睾丸がはれてきて、発赤と痛みが出現します。日本では3−6歳での罹患が多いのですが成人の感染もまれではありません。睾丸炎を併発すると39−40℃の高熱と睾丸の腫脹、疼痛が現れます。大人だけではなく10歳以上の男児であればこの睾丸炎を併発ことがあります。併発の頻度も15〜30%とかなり高率に見られます。片側のことが多く両側睾丸に来た場合に精子製造能力を失うことがありますがその頻度は2%ぐらいとそれほど多くはありません。予防は可能で生後12カ月過ぎたら「おたふくかぜワクチン」を摂種することである程度の予防が可能ですが、感染後のワクチンは治療効果はありません。またワクチンをしていてもある期間たつと自然感染してしまうこともあります。しかし一度感染して無精子症になっても症状回復とともに、数カ月で再度精子の出現をみる例も最近経験しましたので一生回復不可能とあきらめる前によく医師と相談してください。また睾丸炎とよく似た症状で精巣上体炎があります。多くは一般細菌、クラミジア、淋菌が尿路より睾丸方面に向かって侵入し発症しますが、まれに結核性の事もあり、進行すると症状は睾丸炎と見分けがつかなくなることもあります、この場合には両側の感染が起こると、Aの精路閉塞になり睾丸は精子製造能力があるのに精液中に精子を認めない無精子症として不妊症になることがあります。いずれにしても現在では@でもAでもMD-TESE(顕微鏡下精巣精子採取術)と言って直接睾丸より少数の精子を回収して顕微授精にて受精卵を作成し、子宮に戻して妊娠させる方法もあり、生殖医療専門医の診察、相談で妊娠の可能性がありますので希望を持ちましょう。



Q42:体重と生理の量と妊娠(32歳・女性)
2歳の娘がいます。2人目がなかなか出来ず、婦人科に通っています。血液検査をした所、排卵をしていないそうです。1人目の時、62キロで妊娠をし、現在69キロまで体重が増えています。生理は1週間前後のばらつきはありますが毎月あります。後、妊娠前や産後の生理と比べて量も少なくなった感じがあります、体重もそうですが量も妊娠に関係があるものですか?
体重と卵巣機能は密接な関係があります。適性体重へ戻す努力とともに排卵の有無、特に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の有無について医師と相談が必要です。

妊娠が成立して出産・その後の育児までを円滑に行うには多くのエネルギーが必要です。そのため生殖機能を上手く発現させるためには体に適度なエネルギーの蓄積が必要です。実際に過度の体重減少で生殖機能がおかされることは体重減少性無月経や思春期やせ症を見ても明らかです。一方肥満は逆に過度のエネルギー蓄積状況であり月経異常や排卵障害などの生殖機能障害の原因となります。この原因としては脂肪細胞からレプチンという生殖機能を調節する物質が分泌されることが最近判明してきており、脂肪は単なる油の塊ではなく、重要な卵巣機能を調節する物質の分泌器官であることが判明しています。人でもこのレプチンが足りなかったり、効きが悪く調節効果の少ない患者さんは極度の肥満を呈するだけではなく、卵巣調節ホルモンであるFSH,LH分泌が低値となることから、レプチンは間脳下垂体卵巣系を介し、または卵巣を直接刺激している事が判明しています。肥満女性の約半数には排卵障害や、無月経が見られますが逆にこれらの症状は肥満の治療(レプチンの正常化)が上手くゆくと回復することが知られています。肥満が引き起こす代表的な排卵障害がPCOS【多嚢胞性卵巣症候群】です。PCOS患者の特徴は、排卵が無く、肥満があり、時に多毛症などの男性化兆候が見られ、ホルモン的にはFSHは正常で、LHが高くなり男性ホルモン(テストステロン)も高値で、超音波上の卵巣形態がネックレス状の多嚢胞を示すことで診断されます。さらに半数ぐらいの例ではインスリン値が高く、〔インスリン抵抗性といいます〕肥満不妊女性では特徴的にみられる現象です。これも脂肪におけるレプチンの異常値によって説明できます。肥満が卵を育てるFSHの働きを抑制している可能性が大きいことでも、不妊症特に排卵障害のある患者さんは体重を適正に保つ必要があります。生理の量が少ないのは無排卵性月経に伴う現象と考えられますので、肥満解消とともに正常化する可能性があります。



Q43:痛みが取れない…他に原因が?(32歳・女性)
お腹に激痛がはしり受診したら、子宮外妊娠から流産と診断。検査の結果、お腹に血液が溜まり左の卵巣付近に血の塊があると。痛みも治まり妊娠性ホルモンの数値も下がり様子を見ていたのですが、10日後位にまたお腹が痛みだしました。受診したところ、溜まった血液は吸収されているが塊のようなものは変わらずあり、炎症が起きていると言うことで抗生物質と痛み止めをもらい飲んでいます。しかし痛みが取れません。痛みの原因が他に何かあるのでしょうか?
子宮外妊娠特に卵管流産とそれに引き続いて起こった骨盤内感染症が疑われます。痛みが継続するようなら腹腔鏡検査も一度考えましょう。

妊娠何週で発生した腹痛発作か判然としていませんがおそらく6−7週ぐらいだったのでしょうか。この時期には卵管に受精卵が着床するといわゆる子宮外妊娠となり、自然にそこで胎児が順調に育つ可能性はないので、いずれは出血と下腹部痛を伴い流産兆候を示します、この場合も卵管が着床部で破裂すると腹腔内に大量の出血を起こし早急に手術をしないとショック状態から死亡に至ることもありますので十分な注意が必要です。また卵管着床部から妊娠組織が剥離して腹腔内に向かって流れだす場合も少なくありません〔卵管流産といいます〕。少量の出血と痛みが発生しますが、この場合でもそのまま吸収されてしまえば手術的操作は必要ないことが多いのですが、卵管からの流産組織が再度卵巣や腹膜に再着床をしてそこで発育を開始することがあります。この場合には一度低下したHCG値が再度上昇しますので低下したとして安心してはいけません。このような子宮外妊娠ではその原因として、着床以前にすでに卵管またはその周囲部分に炎症(骨盤内炎症:PID)が存在する場合が少なくありません。すなわち子宮外妊娠とPIDはともに合併する可能性が常にあるのです。すなわち今回のように子宮外妊娠の流産を契機にPIDが再燃して症状がはっきりと表れて来る場合があります。PIDは骨盤腹膜に限定する炎症で自覚的には下腹部痛、発熱があり内診で子宮付属器とその周辺に圧痛を認め、超音波、MRI,CTなどで腫瘤陰影を認めることで確診出来ます。一般的には子宮内膜炎・卵管炎・付属器炎から続発することが少なくありません。その原因菌として最近では性器クラミジア感染の発生率増加が影響している事が言われています。この治療法としては抗生剤による薬物療法と外科的治療法がありますが、この両者を適当に組み合わせて治療方針の検討を行う場合が多く、抗生物質の服用を開始して症状や臨床検査の改善を認めない場合には病巣部能切除や排膿などの外科的処置が必要になります。過去にはPIDでは腹腔鏡手術は禁忌とされた場合もありましたが、現在では特に未婚者や舉児希望者には腹腔鏡下手術が好んで行われるようになり、術中に卵管通過性の検査も合わせて行うことができます。



Q44:基礎体温で低温期が長く高温期が短いです(29歳・女性)
妊娠を望んでいます。なかなか妊娠できず、2年が経ちます。基礎体温を測るときちんとした2層になっているため、排卵はしていると思いますが、低温期が長く高温期が短いです。これが妊娠しない原因だと思うのですが、こういった場合は、どうしたらよいのでしょうか?
黄体機能不全の存在が一番可能性があります。2年間の不妊があれば積極的な検査が必要でしょう、黄体機能不全は治療も可能な疾患ですので一度専門医を受診することをお勧めします。

黄体機能不全とは排卵後にできる卵巣の黄体からのエストロゲンとプロゲステロンの分泌不全によって子宮内膜が着床準備のための変化(内膜の分泌期)をする現象が不完全な状態にあることを言います。しかし実際の症例のなかには黄体からのホルモン分泌が正常であっても子宮内膜に異常を認める場合もあり、このような場合も広い意味で黄体機能不全として取り扱います。したがって黄体機能不全症とは、黄体からのエストロゲンとプロゲステロンの分泌が上手くゆかない場合や、結果として子宮内膜が十分に成熟しないために引き起こされる着床しにくいと状態〔着床障害〕といえます。黄体とは卵が生育する基礎体温低温期(卵胞期)から、排卵終了とともに卵胞内に黄体細胞が形成され、ここより分泌されるエストロゲンとプロゲステロンが基礎体温を上昇させ、子宮内膜を受精した卵が着床しやすいように分泌期に変化させる役割を有しています。また下垂体からのLH 分泌も黄体化に重要な役割を有していますので排卵現象と同様に間脳・下垂体・卵巣系が上手く作用している事が重要です。同じ下垂体より分泌される卵を生育させるFSH作用が十分でない遅延排卵のような卵胞期の異常や、プロラクチン値異常を示す高プロラクチン血症などが存在すると上手く黄体が成熟しないで、黄体機能不全となることもあります。一方でホルモン分泌は正常でも、ホルモン作用の受け取り手である子宮内膜そのものが血流不全の存在のためや、ホルモン作用を受け取る細胞機能(レセプターといいます)に異常がある場合でも黄体機能不全は現れてきますのでいくつかの複雑な病因が絡まって起こることが判明しています。黄体機能不全症があると不妊症や妊娠しても流産となる原因となるので不妊検査では黄体機能は必須検査の1つです。一般的に基礎体温からは高温期持続が10日以下で低温相と高温相の差が0.3度C以下か、高温期での一時的体温低下の有無などで推定し、排卵後の高温期中期で血中プロゲステロン値が10ng/ml未満の時には黄体機能不全症と診断します。ホルモン値が正常でも子宮内膜日付診と言って高温期中期の子宮内膜を採取して、発育が2日以上のずれが無いか否かをみる場合もあります。これらの検査で診断がつけば原因に対する治療が開始されます。原因がはっきりしない場合には黄体ホルモン補充療法やhCG注射による黄体刺戟療法が行われ、時に血流改善のための治療法(たとえばビタミンE,Cなどの服用)が追加されることもあります。



Q45:私は不育症なのでしょうか…(25歳・女性)
1年半前から排卵誘発剤(セロフェン)+hcg注射でタイミング指導をしてもらっています。
1回目は治療を初めてから3か月後に科学流産、2回目は1回目の3か月後に8Wで心拍確認後の稽留流産、3回目は2回目の1年後に7週でおそらく卵管流産(今月)しました。
3回も続くと心が折れそうです。不育症の検査をしたほうがいいのでしょうか?
不育症の可能性があります。原因により治療が異なりますので念のため系統的な検査を受けたほうがよろしいでしょう。

通常連続して3回以上の流産の既往があれば習慣性流産として取り扱います。また2回でも反復流産として習慣性流産に準じて取り扱われます。このように流産や死産が連続して起こり元気な赤ちゃんを得られない場合を不育症といい、一般の不妊症とは別の範疇として取り扱われることがあります。では不育症ではなぜこのように流産が繰り返すのでしょうか?一般的には自然妊娠での流産の頻度は15%前後と考えられています。 1回目の流産に引き続いて連続して流産が発生する可能性は約23%、3回連続する可能性は29%、と言われており、その原因としては以下のようなことが推定されています。@自然流産全体では60%に流産した胎児側の染色体異常が存在することが判明していますが、そのうちに反復流産が約30%に存在します。よって流産が起こってしまった時には流産組織の染色体検査を受けておくことが重要です。この検査を受けることで、夫婦での染色体の組合せ異常(相互転座)が原因として判明することがあり、この場合は日本産婦人科学会のガイドラインで受精卵診断が認められており、染色体の正常な卵を戻すことにより、連続した異常受精卵での流産を避けることができる症例もあります。A次に子宮奇形が原因として存在することが約3%にあります。特に中隔子宮が存在した時には子宮鏡による切除手術にて連続した流産を予防できる場合もあり、子宮卵管造影(HSG)やMRIで子宮奇形があるか否かの検討は必ず必要です。またB反復流産の15%には自己免疫異常が発見されることがありループス抗体や坑リン脂質抗体などの存在が発見されれば、これらに対してステロイド療法、低アスピリン療法、へパリン療法などが組み合わされて行うことで妊娠の継続が可能となる症例があります。その他自己免疫疾患との観点から夫のリンパ球を用いた免疫療法が一時行われましたが、現在ではその効果が不確実であることや免疫療法が有する合併症やショック、肝炎、輸血の副作用などの心配から行なっている施設は少ないようです。その他C、放射線、化学物質や環境汚染物質などによっての流産や細菌感染による場合や、内分泌異常の黄体機能不全、LHの過剰分泌、などの原因による不育症などがあり、不育症または反復流産と診断されたら専門医とよく相談することが必要です。しかし原因が確定できない場合も少なくありませんが、厚生省の研究班の結論では最終的な生児獲得率は自然周期でもARTでも80%ぐらいで変わらないとのデータもありますので治療法の選択はよく不妊・不育専門医と相談してください。



Q46:男性不妊の原因について(30歳・女性)
結婚して1年です。結婚前は10年付き合いとくに避妊してないのに妊娠しませんでした。私は多嚢(のう)胞卵巣ですが、毎月排卵はしています。主人は2回の検査で、精子無力症とわかりました。仕事がら生活も不規則です。乾癬という持病もあり、今はひどくなっています。男性不妊に影響しますか? 乾癬は遺伝するし治らないと聞きました。婦人科では体外授精をすすめられています。
不妊の原因は単一とは限りません。本例も必ずしも男性側原因だけとも限りませんので、もう少し系統的な検査を受けた方がよいでしょう。しかし過去10年間妊娠が1回も無いとしたら、早めのステップアップを考慮に入れることをお勧めします。

男性側の不妊原因はまず精液検査から始まります。40%の原因は男性側にありますので不妊症のカップルにとってはこの検査は必須です。しかし精液検査では次のようなことに注意が必要でしょう。まず採取までの禁欲期間です。2〜7日と言われていますが、年齢や性交回数によっても異なりますので禁欲期間は必ず検査時申し出てください。また1回のみではなく1カ月に2回は行った方がより正確な値が得られ、この結果が大きく異なったら再度検査した方がよいでしょう。この意味では一般不妊治療である人工授精(AIH)を受けた時にはかならず自己記録を残しましょう。精液検査の結果より重要なポイントは次の2項目です。@精子の運動率:A;運動速度が速く直進する精子。B;速度が遅いあるいは直進性が不良な精子。C;頭部あるいは尾部の動きを認めるが、直進運動をしていない精子。D;非運動精子。このうちAプラスBの割合(%)が50%未満のときに今回のように精子無力症と診断されます。したがって同じ精子無力症でもAの割合が多いほど良好精子に近いと言えます。当然日常生活やストレス、性交回数,暑さ寒さなどにより影響されますので成績を判断する場合には、よくそれらの点も考慮しましょう。乾癬の存在は関係ないと思われますが、重症で治療にチガソン使用中は要注意です。精液検査は通常は種々の計算版で行われますが検査センターに移送するなどで、採取より検査までの時間がかかってしまうと、検査成績が大きく変化することがあり注意が必要です。A精子濃度も運動率に劣らず大切です。WHOの基準では2000万/ml以上が必要ですがこれより少ない場合には乏精子症とされます。男性不妊はこの乏精子症または精子無力症が大部分であり、もちろん両方が合併している事もあります。原因は尿道・前立腺の感染やホルモン的な背景が考えられますが、原因が特定できない症例も多く、一般に薬物療法(循環剤、漢方薬、クロミフェン、FSH注射療法など)に反応する症例は20%程度であり、多くの症例は少ない精子を有効に使う方法(人工授精や体外受精、顕微授精など)も考慮に入れなければなりません。



Q47:子宮外妊娠の可能性(25歳・女性)
不妊治療中で妊娠反応があり受診。6週に入ったが胎嚢確認できず。流産か子宮外妊娠の可能性が高いと言われました。5週5日の尿中hcg(ヒト絨毛性(じゅうもうせい)ゴナドトロピン:妊娠中に産生されるホルモン)の検査の結果、77しかないとのこと。hcgが少なすぎるので外妊より自然に出血が起こり流産になるかも…とのこと。今経過観察中ですが、今後どのような経過をたどると思われますか?子宮外妊娠の可能性はありますか?1年前に8週で流産手術を受けたことがあります。
子宮外妊娠の可能性もありますが早期の流産でしょう。特に尿中HCG値〔本当は血液中が望ましい〕がその後上昇しなければ流産の可能性が大でしょう。

どのような不妊治療を受けたのでしょか。また基礎体温は現在どのようになっていますか?子宮外妊娠は受精卵が子宮空内以外の場所に着床した状態であり、卵管部であることが大部分でありそのほかには腹膜妊娠、卵巣妊娠、頚管妊娠などもあります。この病気は妊娠反応が陽性でありながら。超音波法で子宮内に胎嚢を認めないときに疑われ、しかし流産や正常妊娠でも時にはこのようなことが観察されますので慎重に経過をみることが重要です。妊娠5週には通常の妊娠では子宮内に胎嚢を見ることができます。したがって6週で胎嚢が存在しないか血液中のHCGが1000iu/mlを超えても胎嚢が見えないときには、やはり主治医の言われるように、流産か子宮外妊娠を考えます。症状として不正出血や下腹部痛などがあることが多いのですが特徴的なものはありません。現在出血はないのでしょうか?しかし卵管妊娠が破裂した場合には急激なショック症状を呈しますので緊急手術が必要となることがありますので十分な注意が必要です。一方妊娠12週未満の流産を初期流産といいますが通常は子宮出血と痛みを伴うことが多く、特殊なタイプとして,出血症状が無い流産の稽留流産〔(無症状で子宮内に胎児を認めない流産)があります。今回は胎嚢が見えないことよりこの可能性は可能性が少なく、流産としたらかなり初期の流産と考えられます。また子宮外妊娠では通常出血を伴うことが多く、6週では子宮外部分、特に卵管部分に胎嚢や児心拍を観察できることがあります。いずれにしてもHCGが77単位しかないということはほとんど絨毛の活性が少ない訳ですから、経過観察でよろしいでしょう。しかし観察中にHCGが上昇を開始したら要注意です。このような症例では時に子宮外に着床した受精卵が腹腔内で流産して再度着床してHCGの上昇が起こることがありこの場合は初期流産ではなく子宮外妊娠となりますので、緊急手術が必要となる場合もあります。このようなときには基礎体温も再度上昇がみられますので、流産症状が治まっても基礎体温を測定しておくことが必要です。今回で2度目の流産ですので習慣性流産となってゆく可能性も考えて落ち着いたら検査を受けることをお勧めします。



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